約22億円をだまし取られた経験を持つ日本ハム新庄剛志監督(52)が試合前、ドジャース大谷翔平投手(29)に「大丈夫!」とエールを送った。

大谷の元通訳・水原一平氏(39)が違法スポーツ賭博で多額の借金を抱え、大谷の銀行口座から胴元に450万ドル(約6億7500万円)が送金された問題が発覚した際は「俺も、俺も」と自身の過去を思い返したという。「お金はほら、西宮の方で、大谷君の何倍? 22億だから」と苦笑いで告白。現役引退直後に通帳の残高を確認すると、約22億円あるはずが、約2000万円しかなく、実は資金管理を任せていた人物から横領されていたことが分かった。

「俺は(大谷の)お兄ちゃん? 」と笑いながら当時を振り返った新庄監督は「22億あると思って2000万だったら、どうします? さあ、野球終わった。22億でモトクロス場をつくって、いろいろ遊ぼうと思って、フタをあけたら…俺、4回くらい(残高を)見たもん。そういう時って、笑いが出てくるんですよ。(過去に巨額詐欺に遭った)矢沢永吉さんも言っていた」と明かした。

その経験を踏まえて大谷には「人間だいたい3日で忘れるから。大丈夫、大丈夫。大谷君の金額は、年俸からしたらね。俺は22億だから2000万円しか(残らなかったから)ね」と金銭面に関しては心配せず。一方で、心情面では「やられた方は、そういう(お金の)問題じゃないんですよ。お金なんか、どうでもいいんですよ。(新庄監督は)信用していた、親みたいにかわいがってもらっていた人に何十年もだまされ続けたことの痛みが、どれだけ苦しいか。人間不信になりかける。そこだけ」。

新庄監督は元来のポジティブシンキングで乗り越えた。「俺はポジティブだから、あの件がなかったら、こっち(プロ野球界)に戻っていない。トライアウトも受けてない。この(監督という)経験をさせてもらえてない。お金があったら、向こう(現役引退後に拠点としていたバリ)でヴィラをいっぱいつくって“BIGBOSSホテル”みたいなのをつくってた(笑い)。それで暮らしていたと思う」。何が、どう人生にいい影響を及ぼすかは分からない。「めちゃめちゃいい経験。感謝とまではいかないけど。腹が立つけど、心の傷を負っただけで憎しみはあまりないかな」と話した。