バンザ~イ! 阪神森下翔太外野手(23)が虎の負の連鎖を断ち切った。開幕3戦目となる巨人戦(東京ドーム)。0-0で迎えた8回に今季初安打となる第1号決勝3ランを放った。セ・リーグ最長となる連続無得点記録を25イニングでストップ。岡田彰布監督(66)もベンチで思わずバンザイだ。2年目の若虎が、開幕からゼロ地獄に陥ったチームの呪縛を一振りで解き放った。

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森下はファンの思いを代弁するように、両手を強くたたき、右手人さし指を突き上げた。巨人中川から放った第1号決勝3ラン。開幕3戦目、26イニング目でのチーム初得点だ。負の連鎖を断ち切るアーチに、東京ドームの虎党はもうお祭り騒ぎ。「(チームが)チャンスで1本出なかったところで自分が出せば、勢いに乗れると思っていた。そういう気持ちで挑みました」。この日一番の歓声をかみしめ、ゆっくりとダイヤモンドをまわった。

0-0と停滞していた8回だった。小野寺、近本の連打で作った2死一、三塁の好機。「この3連戦で1回対戦していたので。ツーシーム系と、真っすぐ。ここを狙っていました」。初球から狙いを定めていた。29日の開幕戦では二飛に打ち取られた直球を初球から強振。中堅左に弾丸ライナーで突き刺した。

自身にとっても、今季12打席目で決めた初安打。ルーキーだった昨季も重要局面で価値あるアーチをかけてきた若虎に、思わずベンチで両手を突き上げた岡田監督も「この3連戦の中では一番ええところで打ったしな。初戦のが抜けてたらもっと良かったけど、そらもうしょうがない」とえびす顔。開幕戦では3回1死一、二塁から右中間を破ろうかという当たりを右翼手梶谷に好捕されたが、今度は文句なしの得点だ。

オフには安定性を求め、打撃のコンタクト率アップなどに着手。バットの出し方や体の回し方など、フォームの改良を重ねてきた。キャンプのフリー打撃でも考えながら、丁寧に打撃を確認。時にピート・ローズモデルの「こん棒型」バットを試すなど、研究熱心な姿を見せてきた。「趣味が野球みたいな形。野球について考えることが楽しくて。それが成長してできるようになった時が、うれしいんです」。小学1年で始め、野球歴は今年で18年目。「うまくなりたい」の一心で、ここまで来た。虎の3番は、今も根っからの野球小僧だ。

負の連鎖を断ち切り、開幕3連敗を阻止した。「一喜一憂してもしょうがない。次、京セラでしっかり打ちたいと思います」。殊勲打にも慢心はなく、見据えたのは2日DeNAとのホーム開幕戦。球団初のセ・リーグ連覇へ、まずは森下が流れを変えた。【波部俊之介】

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