広島久保修外野手(23)は4万人超がつめかけた聖地・甲子園で好守を披露し、大歓声を全身に浴びた。

途中出場で中堅へ。7回無死、阪神先頭打者の5番佐藤輝の中堅右への大飛球をフェンスに激突しながら好捕した。「打った瞬間、後ろだと分かった。フェンスとの距離をしっかり測って、取れると思っていきました」。試合前には「目立たないといけないですね」と鼻息を荒くしていたが、宣言通りのスーパープレーで観客を沸かせた。

22年ドラフト7位で入団。近畿学生野球連盟1部に所属する大阪観光大では初のNPBプレーヤーとなった。同じリーグでプロを目指していた後輩選手にも貪欲に走攻守で質問をぶつけるほど、探求心は強い。

プロ1年目となった昨季は1軍出場がなかったが、今年は春季キャンプから現在まで1軍に生き残っている。石見智翠館(島根)3年夏は県大会決勝で敗れ、あと1歩で甲子園出場ならず。今カードは幼少期に観戦に訪れた聖地での公式戦初出場だった。

「甲子園を目指して高校野球をやっていて、その夢はかなわなかった。人生で初めての甲子園でちょっと不思議な気持ちというか、今までフェンス越しで見ていたのが、自分がフィールドに立っていて、違った感覚でした」

あこがれていた舞台で思う存分持ち味を発揮し、試合後は笑みがはじけた。

遠投120メートルの強肩に50メートル5・9秒の快足を併せ持つ。課題は打撃面だ。「打たないとレギュラーとして試合には出られない。バッティングでアピールしたい」。次はバットで大観衆を沸かしたいところだ。【中島麗】

◆久保修(くぼ・しゅう)2000年(平12)9月29日、大阪・河内長野市生まれ。千代田小2年から野球を始め、中学では河内長野ボーイズでプレー。石見智翠館(島根)に進学し、2年夏からベンチ入り。3年夏に島根大会決勝で敗れ、準優勝。高校通算9本塁打。大阪観光大時代は同大学特別アドバイザーで近鉄、ヤクルトでプロ通算1042試合に出場した伊勢孝夫氏に師事。1年目の昨季は公式戦1軍出場なし。2年目の今季はキャンプを通じて初の開幕1軍入り。遠投120メートル。50メートル走5秒9。181センチ、83キロ。右投げ右打ち。

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