負けなかった! 阪神は今季初の甲子園での伝統の一戦を引き分けた。

14日の中日戦は全打順を入れ替えたが、この日は1番近本、4番大山など従来型のオーダーに回帰。1点を追う7回に糸原の犠飛で追いついたが、8試合連続2点以下と貧打は解消されていない。試合は1-1の10回表に雨が激しくなり、そのままコールド。85年にバックスクリーン3連発が出た記念日の17日こそ、打線が目覚めてスカッと勝ちたい。

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すさまじい雷鳴が甲子園に響いた。悲鳴にも似たどよめきが止まらない。午後9時、雨のため試合が一時中断。今季初の甲子園での「伝統の一戦」はそのまま、降雨コールドゲームで引き分けに終わった。岡田監督はグラウンドに打ちつける雨を眺めた後、クラブハウスへと引き揚げた。

なんとか1点をつかんだ。試合を動かしたのは1点を追う7回。左前打のノイジーに代走植田海内野手(27)が送り込まれた。坂本の犠打で二塁へ進塁すると、続く木浪の投ゴロで飛び出してしまう。「木浪さんが二塁にいくまでは粘って、という感じで走っていました」。山崎伊の追走をフェイントを入れてかわし、二、三塁間に挟まれながらも、最後は三塁手坂本のタッチをかいくぐって三塁に生き残った。

自らの「ボーンヘッド」で好機をつぶしてしまう可能性もあったが「神回避」で1死二、三塁。代打糸原の中犠飛で、本塁ヘッドスライディングで生還した。三塁側ベンチからリクエストが要求されたが「先に手で触っている感覚はあったので」と確信の同点劇。朝から鳴尾浜で練習し、昼のウエスタン・リーグ、オリックス戦にフル出場。2安打を決め甲子園に乗り込んできた男が意地を見せた。

平田1軍ヘッドコーチは「あいつの持ち味」と足を称賛。ただ、9回無死一塁では犠打を失敗し「最後、バント決めてりゃ言うことなかったけど」。サヨナラ機をつくることができず、これで8試合連続2得点以下と打てない。

14日の中日戦では大山を5番起用、1番木浪、2番梅野と打線を大改造したが、3番森下、4番大山、5番佐藤輝と「通常モード」に戻した。それでも爆発力は戻らない。夏のイベント「ウル虎の夏」で着用する限定のグリーンユニホームお披露目デーを勝利で飾ることはできなかった。

17日は1985年(昭60)の同日に3番バース、4番掛布雅之、5番岡田彰布の「バックスクリーン3連発」が生まれた伝説の記念日。今年は「甲子園&巨人戦&水曜日&ナイター」のすべてが39年ぶりに重なる巡り合わせだ。試合終了から約30分。嵐は過ぎ去り、グラウンドの水たまりも小さくなった。メモリアルな1日はスカッと勝ちたいところ。今度は悲鳴ではなく、歓喜の六甲おろしを響かせる。【中野椋】

◆39年前のこの日 85年4月16日の巨人戦(甲子園)で2点を追う阪神は4回、掛布の1号ソロで追い上げ、なお2死一塁。佐野は遊撃後方に高い飛球を打ち上げた。チェンジかと思われたが、遊撃河埜がグラブの土手に当て、まさかの落球。勢いを得た阪神はこの回、木戸、真弓が本塁打を放つなど、大量7点を挙げて逆転した。阪神は翌日17日の同戦で、バース、掛布、岡田のバックスクリーン3連発が飛び出し逆転勝ち。18日も巨人を下し、同一カード3連勝を飾り、日本一へのきっかけをつくった。

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