“4度目の正直”だ。阪神青柳晃洋投手(30)が今季初白星を挙げた。7回2失点で勝ち負けがつかなかった前回12日に続く、2週連続での中日戦。0-0の2回1死二、三塁では7番村松を空振り三振、8番ロドリゲスを遊ゴロでピンチを脱出。粘りの投球で、味方の先制打を呼び込んだ。

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青柳の好投の裏には「無心」の時間がある。「何もしていなかったら、ずっと配球とか相手のことを考えてしまうので」。だから登板直前には、あえて野球から離れる。余計な思考にエネルギーは使わない。

実は、1年前のDeNAとの開幕戦前には、驚きの行動に出ていた。試合前練習を終えると、京セラドーム大阪のロッカールームでジャズを題材とした人気漫画「BLUE GIANT」を自らのリュックから手にとった。「新刊を買ったばかりだったんです。ちょうどいいや、と思って」。戦闘モードに入る直前、なんと30分間で1冊を読破したという。「ほんとに一瞬、別の世界に入り込むことが大切。野球から離れるためにね」と力説する。

「寝たり風呂に入ったら、僕の場合はスイッチが切れてしまう。アスリートとして良いのかは分からないけど」と笑うが、1度メンタルをリセットすることで、より試合に入っていけるのだろう。漫画は特殊な例だが、よく「心のよりどころ」とするのが「生産性のない」ケータイゲーム。トレーナーの治療を受けながらたわいのない雑談もする。これが青柳なりのプレッシャーとの向き合い方だ。【阪神担当 中野椋】

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