悲劇のマウンドで雪辱の快投だ! ソフトバンク大津亮介投手(25)が7回を投げ2安打無失点でハーラートップタイの開幕3連勝を飾った。多彩な変化球で緩急をつけ、プロ入り後最多の7三振も奪った。敵地ZOZOマリンでは、昨年クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦でサヨナラ打を浴びて以来の登板で悪夢を払拭した。チームは同一カード3連勝で貯金8。首位をキープした。

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涙に暮れた敵地・千葉で大津がヒーローになった。「もう。リベンジしようと思ってやってきた。今日しっかり勝ててよかった」。7回108球。わずか2安打に封じ、無失点の快投劇だった。

昨年10月16日。この場所で悲劇を味わった。ロッテとのCS第3戦。3-3の同点に追いつかれた直後の延長10回に登板。サヨナラ打を浴び、チームは終戦。試合後は人目をはばからず悔し涙を流した。「一生、覚えています」。失意の中、救いの言葉をかけてくれたのは藤井だった。試合後の夜。「よく投げたし。お前らが悪いわけではない」。チーム宿舎で同点3ランを浴びた津森とともに、そう声をかけてもらった。大津は「藤井さんの言葉に救われた」と今でも感謝する。

同じ相手に2度も負けられなかった。先発マウンドに上がれば「一切よぎらず。毎イニング集中して投げた」。この試合2度得点圏に走者を背負ったが、ホームは踏ませなかった。4回以降は毎回三振でプロ入り後最多の7奪三振をマーク。最速151キロ直球に、計7種類の変化球をまぶした。相手打者に的を絞らせず、持ち味の緩急もさえ「低め要求でしっかり投げられた。右打者の内角にも多く投げられたのでよかった」と納得顔だった。

今季は中継ぎから先発に転向して1年目。オフにはオリックス山岡に弟子入り。自主トレでは調整法など、先発のいろはを学んだ。体重管理も昨季以上に徹底。練習の合間にはおにぎりなどの「補食」を欠かさない。「すぐにやせる。先発すると2キロぐらいは落ちるので」。ベストパフォーマンスを発揮できる65~66キロをキープしている。

因縁深き相手から1勝を挙げ、ハーラートップタイの3勝目。チームも3連勝で今季最多の貯金8とし、2位日本ハムに2・5ゲーム差とした。「打者の援護もあっての3勝だと思うので。緊迫した試合で自分のものにできるように」。10・16の悪夢を払拭した右腕は、これからも白星を積み重ねていく。【佐藤究】

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