優勝マジック1で迎えた一戦。先発の菅野智之投手(34)は、8回119球を投げ、6安打1失点と好投した。
試合前の練習だった。中堅の芝で投手陣が輪になった。菅野は杉内投手チーフコーチから「今日、トモ(菅野)で決めてくれ」と短い言葉で思いを託された。125球を投げた22日阪神戦から中5日。マジック1で巡ってきたマウンドに「しびれる試合に投げられるっていうのは、僕もあと何年野球できるかわからないですけど、自分の財産になると思うので。しっかり結果で恩返し」と気持ちを高めた。
試合前までセ・リーグ最多の14勝をマークする。昨季の4勝から飛躍を遂げ、阿部巨人の躍進を支えてきた。
最高の仕事は、最悪の思考で生まれる。ネガティブという意味ではない。「やっぱり俺の場合は、1番最悪の状況から考えるんです。最悪のところからの逆算」。捕手との共同作業で配球を考える中で、大事にしている軸だ。
当たり前のことを当たり前にやる-。よく耳にする言葉も考える。「それって抽象的。では当たり前のことって何なのか。具体的に言える人って意外と少ないと思う」と具体的かつシンプルにする。「投手で言えば早い回に降りるとか、長打だけはダメな場面で長打を許さないとか、先頭でフォアボール出さないとか」。場面における最悪。まず、それを回避できるようにボールを選択する。
優勝の懸かった大一番でも変わらない。6回まで無四球で無駄な出塁を許さなかった。5回2死二塁のピンチでは矢野を140キロフォークで空振り三振。今季の躍進の大きな力になったフォークをボールゾーンに投げきった。2点リードを奪った直後の6回もクリーンアップを3者凡退に抑えた。「やれることは1つしかないので。やっていることをより意識して継続するだけ」。菅野の当たり前をやり遂げ、仕事を果たした。【上田悠太】



