甲子園の風物詩は守れるのか。阪神の本拠地甲子園では、7回裏の攻撃前のジェット風船飛ばしが7年ぶりに復活した。だが、今月8日のDeNA戦で、阪神の攻撃中に空気が入って膨らんだままの風船がグラウンドに飛来。代打嶋村の打席中、2ボールから3球目が投じられようとしていた場面で、嶋村が突然、打席内からセンター方向を指さした。これで試合が一時中断。「物の投げ入れと同じこと」と危惧した球団は、翌9日の午前中に緊急会議を開く事態に発展した。

最後はしぼんで落下するように、風船の口は開けて飛ばすことがルール。だが空気が入ったままということは、風船の口が結ばれていたことになる。故意ならば悪質なルール違反。両軍選手のパフォーマンスにも影響するため、担当者は「試合進行を止めてますからね。絶対にダメです」と厳しい口調で明かす。

もし故意でないなら、考えられる理由は風船を2つ持っていた場合か。専用ポンプで一方に空気を入れ、満杯状態を保つために一度口を結んだ…。ただ、仮にそうだとしても、球場演出で飛ばす合図が出てから約2分後の出来事。あまりに時間差がある。「本来ならば誰が投げたかを特定して、初犯なら厳重注意、2度目なら出入り禁止という事案だと考えています」。今回は特定することができなかったという。

解決策としては、注意喚起のプラカードを持ってスタンドを回ることなどが挙げられた。危惧する点はスタンド通路幅は狭く、連日満員の甲子園ともあれば、二次被害につながる可能性がある。それでも「呼びかけ続けるしかない。ジェット風船の復活自体を見直さないといけないことにもなる」。

7回表のビジターチームの攻撃中に風船を膨らませ始めるファンも続出中。「音が気になる」などプレーへの影響や、前が見えなくなった観客からの苦情もあった。試合観戦を楽しみに足を運ぶファンが大多数のなか、最たる目的が脅かされているのも事実。球団側はジェット風船の「廃止」など後ろ向きには考えておらず、あくまで改善を目指していくスタンスだ。マナーを守れば、球場にいるファン、選手、運営側も全員が気持ちよく野球を楽しむことができる。【只松憲】