沢村賞の選考委員会が28日、都内のホテルで行われ、楽天田中将大投手(24)が2年ぶり2度目の受章を決めた。

 田中の選出はわずかな時間で終わった。前人未到の開幕24連勝に加え、誰も成し得なかった無敗の最多勝投手という偉業に、欠席した2人を含む選考委員5人の意見は決まっていた。記者会見では日本球界最高の投手を絶賛する言葉が並んだ。

 現役通算215勝の村田委員は、「鉄腕」の異名をとった西鉄(現西武)の稲尾の同一シーズン最多連勝記録を56年ぶりに塗り替えたことを挙げ「偉大な投手だというのを印象づけた1年だった。投手として世界の中でも類のない威圧感」と評価した。

 通算224勝で、ことしから加わった工藤委員も「完成された投手」とたたえた。

 田中は7項目の選考基準のうち、完投数だけはクリアできなかった。

 奪三振王を獲得したオリックスの金子は15勝8敗、防御率2・01の好成績で全7項目を満たしていた。

 しかし、平松委員長代理は「24勝0敗で勝率10割という記録の偉大さがほかの投手を寄せ付けなかった」と説明し、「完投はしてほしいが、投手の分業制が進む中、7項目の中では一番低くなっている」と問題視しなかった。