【野球の国から取材メモ:THE

 NEWCOMER大学編】

 キャンプ球春を迎えたプロ野球界に、注目を浴びる大卒新人がいる。京大初のプロ野球選手となったロッテ田中英祐投手(22)。ニッカンスポーツ・コムでは取材メモを紹介します。詳しくは2月3日~7日までの紙面連載をお楽しみに。

 ロッテ田中は昨年春、神宮球場のバックネット裏にいた。京大野球部の仲間たちと、試合を観戦していた。東大野球部の知り合いを通じて手配してもらったチケットは早慶戦のもの。マウンドには有原が立っていた。6回に逆転2ランを浴びる、有原にとっては悔しい試合だったが、テンポ良く投げる有原の姿が、田中にとっては印象深かった。

 その後、昨年6月の大学日本代表選考合宿で3日間ほど生活を共にした。近くで見る有原の球は、やはり迫力があったという。この取材の時も有原のことを聞くと絶賛だった。「普通に、ケガさえなければできるんじゃないかなと思います。全体的な完成度が高い。なんでも放れて、真っすぐにあれだけ力があれば、(プロでも)ある程度勝てるんじゃないかなって個人的には思ってます」。成功を疑わなかった。

 田中はライバルというものを意識したことがないという。これまでの野球人生でも「コイツには負けたくない」というような相手はつくらなかったそうだ。だから、有原についても「だれかをライバルには見立てないのでライバルではないけど、投げるところは見てみたい。あんまり投げ合う相手のことは意識しないんですが、いい投手と投げ合うとテンポがいいので投げやすいというのはあります」。早慶戦で投げていた有原を思い起こしていたのかもしれない。

 ライバル関係のアングルは否定されたが、同期の2人が投げ合う姿を野球ファンなら期待するだろう。まったく違う野球環境で育った対照的な2人の関係は興味深い。これまで交わらなかった2人の野球人生は、ここから大きな絡みを持って進むことになるかもしれない。【竹内智信】