<巨人6-5阪神>◇8日◇東京ドーム

 痛い敗戦の中、阪神ファンに明るいニュースを提供した。阪神新井が、打率でリーグトップに躍り出た。初回、1死一塁から巨人栂野から弾丸ライナーで左中間へ二塁打。その後2打席は四球を選び、3点リードの6回2死二塁のチャンスで三塁内野安打。ボテボテの当たりで激走し、チームの士気を高めた。これで2試合連続、今季15度目のマルチ安打。打率は3割5分4厘まで上昇した。

 「調子はまあまあですね」。そう振り返る言葉以上の活躍だ。ただ、久保田が逆転2ランを浴びた直後の9回は、巨人の守護神クルーンに完敗。157キロの直球、151キロのスライダー、最後は145キロの外角低めフォークをすべて空振りし、反撃ムードを呼び込めず。「明日ですね、明日。1戦1戦しっかり気持ちを入れてやっていきたい。今日はもう終わったこと。明日全力を尽くすだけです」。試合後は悔しさをかみ殺し、淡々と前を向いた。

 その「明日」には、実績がある。今季の阪神は連敗がない。その大きな要因が新井のバットだ。これまで負けた試合の次戦9試合中、8試合で打点を挙げ、勝利に導いている。今日9日の横浜戦でも、新井のバットが爆発するのは、これまでの実績が示している。

 前日には3、4月のセリーグ月間MVPも受賞。快進撃を続けるチームの中、上昇を続ける打率に比例して、中軸としての立場も重みを増している。逆転負けの悔しさは、新井のバットが吹き飛ばす。【佐井陽介】