猛虎が「ポスト矢野」の獲得に動く!

 FA権を取得したロッテ橋本将捕手(32)が権利を行使した場合、阪神が獲得に乗り出すことが13日、分かった。来年で41歳を迎える矢野の後継者探しが数年来の課題。球団は橋本の守備力、打力ともに高く評価し、複数球団による争奪戦も覚悟している。岡田監督の後任人事と同時に、来季の補強戦略も進めていく方針だ。

 岡田監督の辞任ショックに揺れる阪神が、次期監督の選定作業と並行して、来季の補強にも動き始めた。今オフのフリーエージェント(FA)市場では、横浜三浦&ロッテ清水直の両右腕の動向に注目しているが、2投手以上に興味を示しているのがロッテの橋本だ。球団関係者は「今年の目玉の1人だ。捕手のFA選手はなかなか出てこない。打力もあるし、肩も申し分ない。しかも年俸がCクラスで、補償がないのが大きい」と高く評価していることを明かした。

 チームの捕手はベテラン矢野が不動の地位を築いているが、来季は41歳となる。2番手の野口も38歳。若手の育成に時間がかかる状況で、後継者探しは優先事項だった。橋本は今季、規定打席には達していないが、打率3割1分1厘、11本塁打の好成績を収めた。チャンスにも強く、得点圏打率は3割1分8厘。特に満塁では9打数4安打で2本塁打している「満塁男」だ。堅実なリードも光る。虎党にとっては、05年の活躍が記憶に残っているはずだ。日本シリーズで対戦。第3戦では、大ブレークした藤川から代打で2点タイムリー。岡田阪神の日本一の夢を粉砕した。

 橋本の魅力は他にもある。今季年俸は推定3500万円。今年から制定されたチームの年俸ランクは「C」に属す。このCクラスのFA選手を獲得した球団は、人的、金銭補償を免除されるメリットがある。昨年は広島から新井を獲得したことで、プロテクトから外れた赤松が人的補償で移籍したが、橋本獲得の際にはこの懸念がない。球団首脳は「宣言した場合は、複数球団が名乗りを上げるだろう。(提示する)金額が上がるのはやむを得ない」と話している。争奪戦も覚悟の上で、ある程度の資金投入も計算している。

 岡田監督の後任人事に注目が集まっているが、新体制の船出に戦力を整えておくことも重要だ。この日、南球団社長は「新監督の意向もあるだろうが、ドラフトとFAに関しては早めに方針を出した方がいい」と考えを明かした。橋本がFA宣言した場合は、すぐに獲得に乗り出す。

 ◆橋本将(はしもと・たすく)1976年5月1日、愛媛県生まれ。宇和島東高から94年にドラフト3位でロッテに入団。高校通算40発の長打力が売りで高校時代は1年先輩の平井(中日)とコンビを組んだ。勝負強いバッティングと堅実なリードが持ち味。05年に里崎と併用でマスクをかぶり、阪神を下しての日本一に貢献した。今季は前半戦はケガの里崎に代わり、スタメン出場する機会も多かった。長打力もあり、里崎復帰後もDHとして出場するなど打撃面での評価も高い。今季は93試合に出場し、280打数87安打、打率3割1分1厘、11本塁打、55打点。プロ通算成績は590試合、1448打数337安打、打率2割3分3厘、40本塁打、189打点。今季年俸3500万円。右投げ左打ち。179センチ、88キロ。妻と2男。