中日の新助っ人左腕ネルソン・パヤノ投手(26=マリナーズ2A)が2日、ナゾに包まれた変幻投法の一部を披露した。前日1日に続き北谷球場でブルペン入り。軸足となる左足を、横21インチ(61センチ)の投手板から三塁側にスパイク1足分はみ出すかはみ出さないかの位置に置いて投げた。プレートの左右の幅を最大限に使い、球種、コースによって踏み変えながら打者を幻惑するもよう。年俸15万ドル(約1350万円)のリリーフ左腕は、ユニーク投法で猛アピールする。

 左投手が右打者に対する場合、プレートの一塁側を踏んで投げるケースは多い。いわゆる「クロスファイア」。ボールに角度がつき、打者は差し込まれがちになる。だが、パヤノはそんな常識に背を向ける。つま先がプレートの三塁側の端ギリギリ触れる位置に軸足の左足を置き、34球を投げた。極端に言えば、打者は投手がスパイク1足分三塁側に寄った位置から投げてくるように感じる。クロスファイアの「真逆」の投げ方に、ブルペンには微妙な違和感が漂った。

 パヤノ

 打者の左右によって踏み分けるんだ。今日は右打者を想定したよ。

 ただプレートの端を踏むだけではなかった。左打者に投げ込む際には、左足のかかとで投手版の一塁側ギリギリを踏むこともある。スパイクの長さを30センチとすると、極端に言えば、横61センチの投手板を120センチに伸ばして使っているといっていい。自称96マイル(約154キロ)のストレートとハードスライダーで勝負するが、打者にとって球種以上にイヤなのがこのプレート踏み替えということらしい。

 森投手コーチ

 (踏み方が)ふつうと逆といっても、そうやってやってきたんだ。あとは実際の打者にあたってどうか。球種によって踏む位置を決めてしまっても打者に覚えられる。まず実戦で投げさせる。

 パヤノが狙うのは左の中継ぎのスポットだ。かつて投手王国といわれた中日は昨年リーグ3位の防御率3・53。そこからエース川上が抜けた。先発陣をカバーし、守護神岩瀬の負担を少しでも減らすため、中継ぎ陣の再整備は必須。左のリリーフ候補は高橋、小林正らだが、ここに割って入れば言うことはない。

 年俸わずか15万ドル(約1350万円)。メジャー経験がなく、来日まで日本野球の知識もほぼゼロ。「プレステ2で選手を覚えるのもいいね」と話すパヤノが本当に投手陣を救えるのか。ブルペンでの球速はまだ130キロ前後とナゾが多いままだが、第1クール中にも行われるシート打撃で味方を幻惑できれば、意外な戦力になるかもしれない。【村野

 森】

 [2009年2月3日10時5分

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