失敗は繰り返さない。ソフトバンクのドラフト1位、巽真悟投手(22=近大)が“背水”のマウンドで汚名を返上した。2度目の紅白戦で3回2安打無失点。最後は4者連続三振で締め、3回9安打7失点と炎上した17日の紅白戦初登板からわずか5日で鮮やかな復活を果たした。次回はオープン戦に登板する予定で、28日の広島戦(都城)でのデビューが有力になった。

 振り下ろした右腕から放たれたスライダーが、美しい弧を描いてミットにおさまった。フィニッシュは4者連続三振。3回2安打無失点の快投で、巽が鮮やかな復活劇を演じた。「少しホッとしました」。口から白い歯と本音がこぼれた。

 見違える変身ぶりだった。3回7失点と打ち込まれた17日の紅白戦では球にキレがなく、3球しか空振りが奪えなかったが、この日は計5三振。「しっかり腕を振れた。前回の反省を生かせました」。最速143キロの直球とスライダー、チェンジアップを投げ分け、07年に1試合23奪三振の関西学生リーグ新記録をマークした実力を見せつけた。

 ヨコからタテへ。初登板後は腕の振りの改善に取り組んだ。「右腕が横振りになっていたので、縦に振れるようにした」。田之上投手コーチの指導で、前に出した左手を横方向(左)ではなく縦方向(下)へ動かすよう修正。力強く投げ下ろすフォームを身につけた。20日にはプロ入り後最多195球の投げ込みを敢行。徹底して体に覚え込ませた。前夜(21日)は秋山監督から渡された西武西口のDVDを見て「力強い腕の振りで、直球もスライダーも腕の振りが同じだった」と、自分を重ね合わせて研究した。

 19日には直接指導も施した秋山監督は「やられたらやり返す。いいんじゃないかな。この前より躍動感があった。本人が自信を持ってやってくれればいい」と目を細めた。高山投手コーチも「同じ失敗を繰り返さなかったのは大きい。次はオープン戦で試していくことになる」と評価。順当なら28日の広島戦でオープン戦の“開幕投手”を務めることが有力になった。

 まだ満足はない。ひと息ついた巽は、多村と高谷に打たれた二塁打を振り返り「初球の入りが甘かった」と反省。初回に松田のバットを折った場面についても「直球で折ったわけじゃない。次は力勝負で折れたら」と向上心を燃やした。そう、本番はむしろこれからだ。【太田尚樹】

 [2009年2月23日9時42分

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