<オープン戦:阪神3-5オリックス>◇2月28日◇高知・安芸

 阪神鳥谷敬内野手(27)が「開幕3番OK」のお墨付きを得た。2月28日、オープン戦開幕のオリックス戦(安芸)に「3番遊撃」でスタメン出場。初回1死一塁から左中間を破る二塁打を放ってチャンスメーク。メンチの先制犠飛をおぜん立てした。力強い打球を放つ姿に、真弓明信監督(55)は3番で継続的に起用する方針を表明。リーダーの自覚も出てきた鳥谷が新クリーンアップの先陣を切る。

 左中間を一直線に切り裂いた。初回1死一塁、カウント2-3。鳥谷は、ボーグルソンが投じた外角高めの直球をジャストミートした。迷いなく振り抜いた打球は、外野フェンスに達する二塁打。1死二、三塁にチャンスを広げた。続く4番新井の四球で満塁となり、5番メンチが犠飛を放つ。鳥谷が先制点を演出した。

 初回速攻に欠かせない3番だ。2月26日の紅白戦でも初回に福原から右中間を破る先制の適時三塁打を放った。ゲームを左右する初回に長打を連発する姿に、真弓監督は「紅白戦から非常に調子がいい。(バットの)シンに当てている。調子の良さを長く続けてほしい」と期待。鳥谷の継続的な3番起用について「力強さが出てきているのでね」と話して合格点を出した。

 「空振りする勇気。打席ではそういうものを持っていたい」。打率3割20本塁打を目標に掲げるが、バットを当てにいく打撃をする気はない。今キャンプ中には真弓監督に「腰をボールにぶつけていくイメージ」と“逆エビ打法”を伝授された。連日、最後まで球場に残って筋力アップに励んでいる。力強い打球で外野手の間を抜く中距離打者の理想に近づきつつある。

 チームリーダーの自覚も出てきた。練習が軽めだった前日27日は坂、大和、早大の後輩上本を連れて、安芸市内のすし屋に繰り出した。全体練習後にいつもノックを受ける「内野特守組」の慰労会。気取らない食事の最後にプロとして気持ちの重要性も口にしたという。鳥谷は上本について「しっかり声をかけてやりやすい環境をつくってあげたい」と話す。

 真弓監督は、主軸の金本、新井を挟む3番鳥谷と6番メンチについて「攻撃の厚みになってくると思う。また4番(金本)が帰ってくるんでね」と期待した。鳥谷はこの日の守備で一塁へのワンバウンド送球が2度あった。「明日も試合なので、守備も走塁も打撃も全部頑張ります」。真弓阪神のかぎを握る3番鳥谷が、走攻守でレベルアップを目指す。【益田一弘】

 [2009年3月1日11時55分

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