<オープン戦:阪神3-5オリックス>◇2月28日◇高知・安芸

 阪神2年目、石川俊介投手(23)が“第4の先発”の座を大きく引き寄せた。オープン戦開幕のオリックス戦で3回を投げ、堂々の1安打無失点。真弓監督は「マウンドさばきはいいものを持ってるし、特に内角へのボールが良かった」と絶賛し、安藤、下柳、岩田に次ぐ開幕ローテ入りについて「今日でかなり近づいたんじゃないか」と孝行息子の登場を喜んだ。

 真っすぐの最速は138キロ。だが胸元をえぐる攻めの投球が、打者に球速以上のスピード感を与えることを知っていた。ここにスライダー、フォーク、ツーシームを織り交ぜ、球の緩急で凡打の山。まともなスイングを許さなかった。「結果は良かったけど満足はしてない。9番に四球を出しましたから」。自分自身への厳しさも頼もしい持ち味だ。

 2月21日の紅白戦は3回4失点と課題を残した。だが研究熱心さは人一倍。帰った宿舎で好調時のDVDと見比べ、体重が右足に残ってしまう悪癖はすぐ翌日のブルペンから修正した。久保投手コーチは「練習から課題への意識が高いからゲームで実行できる。頭と体がかみ合っている」と絶賛。優勝争い佳境の昨年9月末から先発に加わり、新人ながら2勝した素材に改めてホレ直した。

 これで“第4の先発”にグッと近づいた。同26日の紅白戦では最有力候補と見られた福原が3回4失点、金村暁も2回1失点と今ひとつの内容。真弓構想に暗雲が立ちこめる中、ようやく明るい光を灯した。「でも先発を争うとかではなく、とにかく自分の投球をしていきたい」。昨年は岩田もオープン戦開幕投手を務め10勝で新人王、WBC日本代表と一気にブレイクした。同じ予感が漂う、安芸の快投だった。【松井清員】

 [2009年3月1日11時55分

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