虎のブラゼルが正式に誕生した。阪神は28日、兵庫県西宮市内の球団事務所で、元西武のクレイグ・ブラゼル内野手(29=米独立リーグ、セントポール・セインツ)との契約を完了。今季終了までの契約で推定年俸25万ドル(約2375万円)プラス出来高、背番号は「67」。前夜来日したばかりのB砲はこの日、鳴尾浜でフリー打撃を行い、バックスクリーン最上部直撃の推定140メートル弾も放った。低迷するチームの起爆剤に名乗りをあげた。6・5オリックス戦(甲子園)デビューが待ち遠しい。

 前日27日は逆転勝利。良い流れをそのままに、金本が先制2ランを放ったまでは良かったが…。勝負どころで1本が出ない。またもや競り負け。波に乗れない打線に、まもなくカンフル剤が注入される。前日27日、新助っ人ブラゼルが待望の来日。この日いきなり特大弾を予告し、悩み深き虎ファンの心をくすぐった。

 この日、入団会見に臨み、タテジマに袖を通した。甲子園のセンターバックスクリーン後方にあるライブビアガーデン「ココナッツガーデン」の存在を聞かされた。同所に本塁打の打球が飛び込めば、飲食代が無料になることを知り、ニヤリ。150メートル級の飛距離が必要となるが「タダで食事をしてもらえるように放り込みたいね」と言い放った。

 「自分の大きな魅力は遠くに飛ばすこと」。その実力は午前中の鳴尾浜で証明した。1、2軍の首脳陣が視線を送り、ビデオカメラのチェックも入る。そんな状況でスパイクもはかずにフリー打撃を行い、時差ボケを感じさせないパワーを見せつけた。打撃投手を相手に83スイング。45スイング目にはセンターバックスクリーン最上部に直撃する推定140メートル弾を放った。広角に鋭い打球を飛ばし、右中間最深部に弾丸ライナーも突き刺した。バックスクリーン、右方向に6発ずつ、左に2発。3連発を含む計14本の柵越え。見守った和田打撃コーチは「うちにはいないタイプ。反対方向にあれだけ大きいのを打てば甲子園に対応できる。(右から左に吹く)浜風に打球を乗せられる」と高評価した。

 この日は本職一塁用のミットでキャッチボールしたが「どんなポジションでもやるよ」とハングリーだ。今後は鳴尾浜で調整し、6月5日オリックス戦(甲子園)で虎デビューする予定。「昨年は西武で優勝した。チームのコマになって違うリーグでも優勝を味わいたい。阪神はヤンキース、レッドソックスと一緒で長年培った歴史があるチーム。何かの火がつけばいい流れができる。それを自分の役目にして、チームの何かが爆発してくれたら」。低迷する虎の起爆剤に名乗り。「ブラッズ(BRAZ)と呼んでくれ」と陽気に笑う新助っ人が、苦しむ虎を救ってくれると信じたい。【佐井陽介】

 [2009年5月29日11時45分

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