<巨人7-6西武>◇16日◇宇都宮

 巨人が、ようやく西武にリベンジだ。1-3の4回裏、木村拓也内野手(37)の2号3ラン、小笠原道大内野手(35)の13試合ぶりの14号ソロで逆転し、6回に坂本勇人内野手(20)が自己新の9号ソロで試合を決めた。山口、越智の必勝リレーを早めにつぎ込む原采配で西武の反撃をしのぎきった。昨年の日本シリーズは逆転で日本一を逃し、今季の交流戦は延長引き分けとサヨナラ負け。どうしても西武に勝てなかった原巨人が雨の栃木・宇都宮で屈辱を晴らした。

 体は「く」の字に折れていた。それでも、打球の勢いは衰えなかった。6-3の6回、巨人坂本が左越えにソロを放った。西武野上の外角に落ちるスライダーにバットを伸ばした。自ら「難しい球でしたけど(バットの)ヘッドをうまく利かせることができました」という技ありの1打で、リードを4点に広げた。8回に3点を失い、1点差まで詰められた。終わってみれば貴重な1発だった。

 昨季の8本を抜き、早くも自己最多9号に達した。20歳の若武者は実感した。「進歩しているということではないでしょうか」。3回の第2打席で左ひざ裏に死球を受けたが、そのダメージを感じさせなかった。大事を取って7回の守りからベンチに下がったが、「大丈夫です」と周囲の心配も打ち消した。

 練習にちょっとした工夫を取り入れ、状態の維持に努めている。今月に入り、試合前のフリー打撃で数スイングはフルに力を込めてバットを振るようにした。狙いは「体のキレを出すためです。思い切り振るのは大事だと思います」。梅雨を迎え、開幕から疲れがたまる時期。全試合スタメン出場を続けた昨季は5月、6月に成績を落とした。今季は大きな波もなく、首位打者を走り続けている。

 チームはリベンジを果たした。昨年11月9日、日本シリーズ第7戦で西武に敗れ涙をのんだ。交流戦もここまで1敗1分。1年越しでナベQ西武に土をつけた。日本一を逃した直後、原監督は「日本一という課題が残った」と言った。坂本は同シリーズ全7試合に出場したが、打率は1割6分7厘にとどまった。あれから7カ月あまり。20歳となった今、日本一奪回に欠かせないリードオフマンへと成長した。

 ベテラン勢も本領を発揮した。1-3で迎えた4回、石井一に襲いかかった。谷、鶴岡が連続二塁打でまず1点。さらに木村拓が逆転の2号3ランを放つと、小笠原が2者連続の14号ソロで石井一をマウンドから引きずり降ろした。3連敗中、チームの総得点は4点にとどまった。打線が持っている力を見せつけた。

 1週間の遠征も終わり、17日は東京ドームで西武を迎え撃つ。連勝すれば西武戦の勝ち越し、さらに今季交流戦の勝ち越しも決まる。原監督は「交流戦も残り3試合。1戦1戦しっかりと戦っていきたい」と、連敗ストップにも気を緩めなかった。【古川真弥】

 [2009年6月17日9時22分

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