<ロッテ6-2オリックス>◇26日◇千葉マリン

 ロッテ西岡剛内野手(25)が心ないファンに異例の訴えをした。1回に球団新記録となる今季7本目の先頭打者弾を放つなど2安打3打点でチームの4連勝に貢献。試合後のヒーローインタビューでは、試合中にフロント批判の横断幕を掲げていた一部ファンに対して「選手は一生懸命プレーしている。本当にロッテを愛しているのなら明日から横断幕を下げてほしい」と、プレーに集中したい正直な気持ちを吐露した。

 西岡が一部の過激なファンの行動に対して、沈静化を求めた。インタビュアーからマイクを奪うと、お立ち台から下りてライトスタンドに向き直った。恒例のヒーローインタビューが、異例の演説に早変わり。「僕たち選手は一生懸命プレーしている。スタンドには将来、野球選手になりたいと願う子供たちもたくさん来ている。そこで許されないような言葉で書かれた横断幕を出したり…。子供たちの夢を壊さないでください。僕自身この成績で言える立場じゃないけど、1人の人間として間違っていると思う」と、時折声を詰まらせながら訴えかけた。スタンドから拍手が起こり、涙ぐむファンの姿もあった。

 熱心な応援スタイルで「日本一」ともいわれるロッテファン。だが、今年はシーズン開幕直後からバレンタイン監督の続投を求めるメッセージボードや、格差トレードを含めたフロントのやり方に対する批判の横断幕が掲げられた。7月下旬に同監督が今季限りでの退団を表明したことで沈静化したが、残り9試合となった前日25日のオリックス戦から再燃。この日も攻撃中にフロント批判の横断幕が掲げられていた。

 西岡は「初回に打席に入った時から目に飛び込んできて、イライラした」と言う。その怒りが、今季7本目の先頭打者弾となり、複雑な気持ちでダイヤモンドを1周した。さらに4回には、雑念を断ち切るように中押しの2点適時打をマーク。「とにかく集中したい」という言葉を繰り返した。

 ファンへの思いが強いからこその発言でもあった。大阪桐蔭からロッテ入りした時に「最初はロッテといわれてもよく分からなかったが、ファンの熱い応援を見て好きになった」と振り返る。それだけに一部ではあるが、心ないファンの行動が許せなかった。「勇気がいったけどこれで感じてくれたらと思う。ファンが選手を信じているように、選手もファンを信じます」。西岡の勇気ある行動で一連のお家騒動に決着がつけばいいのだが。【鳥谷越直子】

 [2009年9月27日8時37分

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