オリックスが前代未聞、新人の仮契約に失敗した。ドラフト2位指名した日立製作所・比嘉幹貴投手(26)サイドと26日、茨城日立市の同社で入団交渉を行った。だがその場で突きつけられたのは、評価が低すぎるとした異例の契約保留だった。最悪、入団拒否に発展する可能性も出てきた。

 球団は24日、26日に比嘉と仮契約を結ぶ予定と発表し、晴れの入団会見も設定していた。通常はこうした発表前の下交渉で合意に至っているケースがほとんどだ。だが球団は合意を得ずに茨城入り。結局本人は交渉の席につかず、監督と部長が話を聞いたが、当然のごとく物別れに終わった。

 球団が比嘉に提示した契約金は5000万円前後とみられる。同1億円の1位、日本文理大・古川秀一投手(22)の半額。3位の敦賀気比・山田修義投手(18)は5000万円(金額は推定)で、2位の大卒社会人エースが高校生と同条件になる。比嘉は指名当日、色紙に目標を「開幕1軍」と記すなど入団に前向きだった。だが同社関係者はこの日「残留も含めて会社と検討中です」と、入団拒否の選択肢を明かした。

 オリックスは長村編成部長らを交え、27日にも緊急の対策会議を開く。岡田監督は指名した5選手の中で「1番計算できるのではないか」と評価する即戦力右腕。村山球団本部長は「同意をもらっていると思っていた。意思疎通が食い違った。最大限努力して出直したい」と条件見直しも示唆した。新人入団発表は29日に迫るが「間に合わせることにこだわっていない」とドラ2不在も覚悟。最悪の事態回避に球団を挙げて奔走する。

 [2009年11月27日11時44分

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