ついに帰ってきた。巨人高橋由伸外野手(34)が17日、宮崎サンマリンスタジアムで行われた1軍の紅白戦に白組の5番一塁でスタメン出場した。実戦は代打で出場した昨年8月28日以来173日ぶり。2打席目には右前打を放ち、昨年9月に受けた腰の手術から順調に回復した姿を、首脳陣の前で見せつけた。

 鋭く一、二塁間を抜けた打球を目で追いながら、軽快に走った。苦しんだ腰痛を感じさせない強いスイングと走りっぷり。久々の感触に、一塁上で高橋の顔にも自然と笑みが浮かんだ。言葉は「1本出た?

 (バットに)当たって前に飛んだからいいんじゃないの」と短かった。昨年8月22日、中日との2軍戦以来の安打も、実績と実力からすれば小さな出来事だ。それでも復活を示す1歩に、試合後の表情には安堵(あんど)感がにじみ出た。

 順調な回復が実戦復帰を早めた。当初の予定は20日に行われる広島との練習試合だった。打撃、守備とも他の選手と遜色(そんしょく)なく練習する姿に、予定は3日繰り上がった。「普通に打てて、普通に守れた。いい滑り出し?

 まあまあです」。1月初旬の自主トレでは「まだまだみんなと一緒にやれるにはちょっと…」と不安げだった男は、わずか1カ月半で試合に出られるまでに仕上げてきた。1軍の主力級がそろって出場した紅白戦。打撃だけでなく、一塁の守備も無難にこなした。高橋もまた同じラインに到達することができた。

 肌寒い時期での十分な動きに、首脳陣からも不安の声は聞かれない。原監督は「(高橋の)コンディションと天気がよかったからね。少し前倒しになりました」と繰り上げ出場を説明。伊原ヘッドコーチは「体が元気なのが一番。これから実戦感覚を戻してくれればいい。技術は他の選手より秀でたものを持っているからね」と、目を細めた。順調な第1歩を踏み出した高橋の復活ロードは、これからさらに加速する。【小松正明】

 [2010年2月18日8時41分

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