4年ぶりに広島に復帰したジョン・ベイル投手(35=ロイヤルズ)が22日、広島市内のマツダスタジアム内で入団会見に臨んだ。調整ペースは良好で、早ければ23日にも大野練習場のブルペンで投球練習を行う。最速147キロ左腕は長女マディソンさんの9歳の誕生日に、幸先のいいスタートを切る。宮崎・日南キャンプ中のチームはこの日はオフで、23日から最終クールに突入する。

 入団会見場に用意されたユニホームに、ベイルの表情が和んだ。04~06年の3年間で106試合に出場した。かつて慣れ親しんだ旧市民球場から、舞台はマツダスタジアムへ。本拠地は移っても舞台が広島であることに変わりはない。「広島でのプレーは興奮した。家族もこの街が好きで、復帰できたことに感謝したい」。193センチ、100キロの大型左腕は、古巣ユニホームと4年ぶりの再会を楽しむように、ゆっくりと袖を通した。

 球団職員に届いた1通のメールが、復帰への幕開けだった。沖縄キャンプ入りした2月初旬。「ジョンが日本に戻れるチャンスがあるか、もう1度考えて下さい。家族も日本が好きだし。年俸は10万ドル(約900万円)+出来高払いでも構わない」。ジェネビーブ夫人(32)が、前回所属時に親交を深めた球団職員の曽川乃麻さん(28=編成部国際業務課主任)にあてたものだった。

 ベイル家の3人の子供は育ち盛り。大好きな日本で家族一緒に生活したいとの思いが、ジェネビーブ夫人を突き動かした。届いた“嫁打診”を球団首脳で検討。5月で36歳になる大ベテランとはいえ、前回所属時は1億円選手で実績もある。上手投げ、横手投げを駆使し、先発や中継ぎにも起用可能な左腕の獲得を推す声が挙がった。ベイルの人柄を、松田オーナーは「性格の良さがにじみ出ている」と評価していた。野村監督の希望する投手のタイプでもあった。

 「日本のハードな練習が合っている」とベイル。長女マディソンさんの9歳の誕生日となる23日、廿日市市の大野練習場で始動する。「まずはキャッチボールで慣らし、それからブルペンも考える」。状態を見ながらになるが、いきなりブルペンで投球を始める可能性もある。最速は147キロをマークする。推定年俸1000万円の左腕は、家族の愛と古巣の恩に応えるつもりだ。【佐藤貴洋】

 [2010年2月23日10時28分

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