<教育リーグ:西武8-6巨人>◇9日◇西武ドーム

 西武のドラフト1位ルーキー菊池雄星投手(18=花巻東)が、ほろ苦プロデビューとなった。プロ初の対外試合となる2軍オープン戦の教育リーグ巨人戦で先発したが、2回で3安打3失点を喫した。最速144キロを計測したものの、走者を背負いセットポジションでは球速が130キロ前半に落ち、3四球にボークもとられるなど課題を露呈。渡辺久信監督(44)は1軍昇格の見通しについて「早ければ5月か6月」と設定し、開幕1軍は絶望となった。

 2回を投げ終え、足取り重くマウンドを降りた。雄星はうつむきながらベンチ裏に消えた。初回、先頭橋本に中前打を許したが、欲ばった橋本を二塁でタッチアウト。結果的に3人で抑え、走って一番乗りでベンチに戻り、ナインとハイタッチした光景とは対照的だった。「結果だけ見れば失点もしてしまったけど、課題が見つかって納得できる部分もあったので。悔しさ半分という感じです」と、単なるホロ苦デビューではないことを強調した。

 初回はこの日最速の144キロを計測するなど、1安打は許したが、順調な立ち上がりだった。快投を予感させる滑り出しに、ファン3743人が集まった西武ドームは沸いた。しかし2回に課題が浮き彫りになった。1死から小田嶋に左前打を浴び、初めて走者を背負った。セットポジションになった途端、腕が振れなくなり、ストライクも入らなくなった。続く矢野への4球目にはセットポジションで静止しなかったとして、ボークの判定。2者連続ストレートの四球で1死満塁とし、加藤に甘く入った132キロの直球を左前に運ばれプロ初失点を喫した。

 「セットに入ってからストライクが入らなくなって、ボールを置きにいってしまった。球威も落ちてしまいましたし」と振り返った。走者を背負ってから投じた直球が、速くても133キロだった。試合前の投球練習ではセットポジションから多めに投げたが「不安に思っていたことがその通りになった」とうなだれた。

 これまで「実戦派」を自任してきた雄星。だが3四球にボークとセットポジションの課題露呈、さらに空振りは初回にスライダーで奪った1度だけという結果に、報告を受けた渡辺監督も「もっとがむしゃらさを出してほしい。でもいい勉強になったと思う。1軍?

 これから良くなったとして、5、6月くらいかな」と話した。

 投球を見た小野投手コーチはさらに手厳しかった。「全然ダメ。次の登板は全然未定。変な意味で言えばプロ野球をなめてるよ。みんな生活をかけてやってるんだから」。ただそれも期待の裏返し。もちろん、雄星もこのままで終わるつもりはなく、「課題は着実にクリアしてますから」と前を向いた。苦い経験は成長の糧にする。【亀山泰宏】

 [2010年3月10日8時55分

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