<ロッテ7-2広島>◇16日◇千葉マリン

 ポロリ、ポロリ、白星スルリ…。広島野村謙二郎監督(43)が初めて“カミナリ”を落とした。ロッテ戦は「本番モード」で挑んだが、1点を追う7回に2失策が絡んで4失点。一方的な展開になって、敗れ去った。09年10月に監督就任後、初めて試合内容を厳しく指摘。「悪い、典型的な最低の試合」と振り返った。報道陣の取材を受けたあとに、コーチ陣を集めて緊急ミーティングを行うなど、ミス撲滅に努めた。

 接戦を制するための課題が浮き彫りになった。本気モードで臨んだが、致命的なミスのオンパレードで敗れ去った。バス2台に全選手が乗り込んでも、野村監督をはじめとする首脳陣は一室にこもり緊急ミーティング。3、5、10分…。あるコーチは「なぜミスが起こったのか、なくすためにどうすればいいのかを話し合った」と明かした。ミス再発を防ぐために、素早く動いた。

 すべては7回の攻防に凝縮された。強風が吹く千葉マリンの風速は6メートル。7回裏、先頭金の飛球を石原が落球する失策を犯してから暗転する。3番手横山の球はキレを失い、ロッテ打線に続けざまに痛打される。そしてけん制球を一塁ヒューバーがポロリ…。大量4点を失い、ワンサイドゲームになってしまった。野村監督は冷静な口調のなかに、怒りをにじませていた。

 「肝心なところで失策2つ…。ああいうミスが出て勝てるわけがない。悪い、典型的な最低の試合だった。野球は打つだけでなく、走攻守、状況判断が大切です。最低の試合でした」。

 昨年10月に指揮官就任以来、実質的に初めての“カミナリ”だ。これまでは収穫を口にすることも多かったが、かつてなく厳しく試合を振り返った。守備のほころびだけではない。野村監督が「その前のプレーで…」と指摘したのは1点を追う7回表。天谷が左翼線二塁打で出塁したが、栗原の遊直で戻れずに走塁死。貴重な同点の走者が、ワンプレーで消えてしまった。天谷も「(外野に抜けるか判断が)難しいとかじゃなく、絶対にかえらないといけない。チームの流れを切ってしまった。やってはダメなプレー」と猛省した。

 細かいミスを徹底的に撲滅する。それがスキのないチーム作りにつながる。試合前には、野村監督がナインを鼓舞した。「気合を入れていくぞ!

 投手も打席に立たせるから」。この日は、今季初めて投手が打席へ。3回無死一塁で、斉藤に打席が巡る。1球目はバントのサイン。これをボールで見送ると、指揮官が動く。意表を突いたバスターで打球は本塁前に転がり、里崎がつかみ損ねた。失策から2点を奪い、同点に追いついた。

 野村監督

 相手の守備陣形でバントと決めつけていれば、そういう作戦を取る。キャンプで(投手がバントやバスターを)練習して試すんじゃない。ベンチで勝てる采配を、1点でも多く取りに行ったんだから。

 とにかく勝ちに行く。オープン戦は残り4試合。チャレンジの時期は終わった。野村カープはワンプレーに執念を燃やし、臨戦態勢を整える。【酒井俊作】

 [2010年3月17日11時2分

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