阪神城島健司捕手(33)が23日、大量失点の目立ったオープン戦のリードの真相を語った。20日からの広島2連戦は安藤、能見の2枚看板をリードして合計10イニングで11失点。直球系のボールを内角に要求し、はじき返される場面が多かった。似た展開を繰り返した裏には、メジャーリーグと違い、セ・リーグ5球団と24回戦を行う日本球界を見据えた城島の意図と信念があった。

 城島は、オープン戦ラストの広島2連戦で先発マスクをかぶった。20日は安藤が4回に7安打を集中されて6失点。「真っすぐ系をどんどん振ってくるチーム。僕の配球がドンピシャで当たってしもうた」と反省した。だが翌21日も「広島キラー」能見が5回を5失点。4番栗原には同じ内角直球で左前打、左翼線二塁打を浴びた。なぜか?

 城島

 例えば1試合目に7点をとられた、じゃあそこで配球を変えたら、僕たちバッテリーはシーズンで完全に後手に回るでしょう。だから2試合目は配球を変えなかった。もし相手に「あ、城島の配球はこうやってくる」と思い込ませれば、それはシーズンの大事な局面につながってくる。オープン戦の最後は、そういう戦いが始まっている。

 オープン戦ならではの「まき餌」。当然抑えるに越したことはないが、シーズンとオープン戦をてんびんにかければ、どちら重要かは明らか。そしてジョーの頭には4年間所属したメジャーリーグと5年ぶりに復帰した日本球界の、レギュレーションの違いがある。

 城島

 日本は同じ球団と24回も対戦する。だから裏をかく、裏の裏をかく、という駆け引きが出てくる。メジャーはそこまで対戦が多くない。(09年は同一チームとは最大19回戦、最少3回戦で年間で18チームと対戦)。だから自分たちのいいボール、得意なボールを選択すればいい。それは日本とメジャーの違いだと思う。イメージを与えて大事なところで裏をとる、ということがあるでしょう。

 シーズンを見据えた戦いは、城島だけがやるわけではない。野村カープの采配にもそのにおいを感じたという。城島の指摘は2試合目の初回の攻撃だった。梵が二盗に成功して、栗原の適時打で生還。直後の2死一塁からフィオの3球目に一塁走者栗原が二盗のスタートを切っている。(結果はフィオの空振り三振)。

 城島

 あの栗原のスタート。梵も走る、栗原も走るということをイメージとして植え付けようとしている。これがシーズンで本当に走ってくるかといえば、そうとは言い切れないと思う。広島もそういうことをやってきているわけです。

 相手球団との神経戦を終えて、5年ぶりの日本、初のセ・リーグで「阪神城島」の開幕が近づいている。

 城島

 オープン戦をみればわかるように(阪神の)打線は強い。1発があるから。(21日)広島戦の5回はヒット、本塁打、ヒット、本塁打で4点も入った。それだけに投手だと思う。

 ジョーが虎投を率いて出陣する3・26開幕まで、あと2日だ。

 [2010年3月24日11時9分

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