<巨人7-9阪神>◇13日◇東京ドーム

 阪神の守護神藤川球児投手(29)が、必勝を託された今季初めてのイニングをまたいでの救援で阪神の球団記録を塗り替えた。8回1死からマウンドに上がった。久しくなかったドキドキを感じていたが、ベンチの思いも分かっていた。「一番悪いのはホームラン」。勝負に徹した。坂本、松本は火の玉ではなく、フォークで打ち取った。8回に投じた全8球中6球が変化球だった。ベンチに戻る前、城島から声を掛けられた。「お前のフォークは終わってる」。

 9回無死一塁、4番ラミレスを迎えリミッターが外れた。初球はこの日最速の150キロ。盗塁にも目をくれず、4球すべて直球勝負だ。これまでの変化球主体の投球が布石に見えた。カウント2-1、外角148キロの直球でラミレスを三振に仕留めた。「1年ぶりに仕事をしたなという感じ。(試合中も)逆転するかなと思っていた。野手も打って、能見さんを助けられて、やっと自分も貢献できたと思う」。今季4セーブ目は通算131セーブとなり、山本和行を抜いて球団単独1位となった。

 中継ぎから守護神に転向したのは06年6月下旬。今年で5年目になるが、記録にこだわりはない。ウイニングボールは「記念館にでも入れます。気にしない。気にしない」とジョークで笑い飛ばした。【鎌田真一郎】

 [2010年4月14日8時43分

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