<巨人7-4広島>◇24日◇東京ドーム

 野村カープが、巨人木村拓也内野守備走塁コーチ(享年37)のとむらい合戦に、野手を全員使い切る総力戦で敗れた。終盤まで続いたシーソーゲームに、8回中東直己外野手(28)の犠飛でいったんは勝負をつけたかに見えた。だが、その裏に3番手高橋が痛恨の満塁被弾などで5失点。木村拓コーチ追悼試合に敗れ、対巨人戦の連敗も5まで伸びた。

 ベンチには野手は1人も残っていなかった。まさに総力戦で、野村監督は木村拓コーチの追悼試合を勝利で飾ろうと執念を見せた。初回に先制し、6回に逆転されても7回に追いつく。8回表には巨人越智を攻め、1死満塁から、代走から左翼の守備に入っていた中東が、初球のストレートをレフトへ勝ち越し犠飛。中東の打点は、07年5月13日の対横浜戦(横浜)以来、3年ぶり通算3打点目。普段は代走など地味な役回りの男が、ヒーローになりかけた。中東は「たまたまチャンスで回ってきた。つなぐ意識でいきました」と振り返った。これで3-2とリードした。

 だが、その裏に3番手高橋が代打谷に満塁弾を食らうなど5失点で勝負を決められた。指揮官は「ウチが勝ちきれるパターンだった。二、三塁になったところで、満塁策を取ったが、最悪の形になってしまった」と悔しがった。競った展開に持ち込んでも、最後は巨人の破壊力に粉砕され、これで対巨人戦は5連敗となった。

 試合前、野村監督は都内で行われた木村拓コーチのお別れ会に出席。「素晴らしい試合ができれば(木村拓コーチに)喜んでもらえるのでは」と話していた。試合後、試合の評価を問われた指揮官は、選手の粘りをたたえた。「最後まで競った形で8回まで行った。ウチらしい展開で7回までは進んだし、相手の勝利の方程式の越智からも点を取った」。野村監督はあきらめず前を向いた。どんなときもあきらめず、自分の生きる道を探った木村拓コーチのように。【高垣

 誠】

 [2010年4月25日12時30分

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