<ソフトバンク13-2楽天>◇28日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンク小久保裕紀内野手(38)が3年ぶりのグランドスラムを放った。3回裏無死満塁で、楽天藤原から左翼席へ5号満塁弾をたたき込んだ。07年6月3日以来の満塁本塁打は8球団からで、史上最多タイになる。また通算13本目で歴代4位タイに浮上。王貞治球団会長の持つ15本の最多満塁本塁打記録を射程圏にとらえ「王会長の記録に追いつけるように頑張ります。あと2本ですかね」と目を細めた。

 38歳にして、自らも驚くパワーを秘めていた。3回裏、無死満塁。フルカウントからの内角直球を打った。「詰まったのでフェンスぐらいかなと思ってましたが、入ってくれました」。グッと左足を踏み込み、極限まで左肩を開かない。バットの軌道がV字を描くようにフィニッシュは高い。今季5号、通算389本塁打は、無意識のうちに、詰まりながらボールを押し込んだ結果だった。

 週4日の筋力トレ、試合後の2時間近くのマッサージ。ナイター時は深夜1時半に眠りにつくほど体のケアには気を使うが、気持ちの張りもある。巨人時代に同僚だった仁志敏久内野手(38=ランカスター)が、今年米独立リーグに挑戦。「メールが来とったよ。楽しい、楽しいって」。同年代の男の奮起はひとつの刺激。ただ、視界は野球だけにとどまらない。「サッカーでキングカズ(横浜FC三浦知良=43)が一線でやっている。サッカーは心肺系のスポーツ。なのに、年上の選手があれだけやれている」。40歳を前にしても、老け込む年ではない。

 小久保のバットにつられるように打線は今季最多の13得点と爆発。貯金も今季最多の4。頼もしい主将がゴールデンウイークを貯金週間にしてみせる。【松井周治】

 [2010年4月29日9時16分

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