<巨人1-3西武>◇12日◇東京ドーム

 セ・リーグ最強の巨人打線も、天敵の前では手も足も出なかった。試合後の会見の冒頭、担当記者から「お疲れさまでした」と声を掛けられた巨人原辰徳監督(51)は自虐的な笑みを浮かべた。「今日は疲れる前に終わっちゃったね」。顔は笑っていても、岸に封じ込められた打線について求められたコメントには怒りがにじんだ。わずか4安打。今季初の“完投負け”に「(岸を相手に)何度も打席に立っている連中が同じような形でやられすぎ」と語気を強めた。

 2年前の日本シリーズのVTRを見ているかのような完敗だった。地面でワンバウンドするボール球のカーブを空振りし、直球には振り遅れる。2回に3連打で1点を先制したのが最初で最後の見せ場。4回以降は1人の走者も出せず、すべて3者凡退に打ち取られた。狙い球を絞ったり、相手を揺さぶるような攻撃は見られなかった。篠塚打撃コーチは「完全に向こうが上だった。個人もそうだけど我々も対策を練っていかないといけない」。伊原ヘッドコーチも「何かを徹底してやっていかないといけないね」とため息交じりに話した。

 自身の監督通算500勝も次戦にお預けとなった原監督は「(野手は)今日は眠れないぐらい悔しいでしょう。これを肥やしにして、明日からまた頑張るということです」と、やられっぱなしの打線の奮起を促した。パ・リーグ首位の西武とは日本シリーズで再び顔を合わせる可能性がある。交流戦と同時に、秋を見据えた戦いも幕を開けた。【広瀬雷太】

 [2010年5月13日8時48分

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