<オリックス5-3阪神>◇22日◇スカイマーク

 ミスから決勝点が生まれた。3-3の6回に勝ち越しソロを放ったオリックスのアーロム・バルディリス内野手(27)。一塁側ベンチでおとなしいハイタッチが素直に喜べない心境を物語っていた。お立ち台では「狙ったところにボールが来てとらえられた」と強がったが、古巣阪神に連勝した岡田彰布監督(52)が笑って真相を暴露した。「待て(のサイン)やったんですがね。次(代打の)日高行くつもりで、1球待てと。まあ罰金て言うてますけど」。

 2死走者なし。バルディリスはベンチが出したサインを勘違いし、3ボールから見逃せばボール球の直球に手を出した。打球は、ジェット風船を飛ばす準備を終え、やる気たっぷりの阪神ファンが待つ左翼席に舞い落ちた。結果的にこれが、罰金付きの決勝本塁打となった。

 阪神時代から師弟関係にあるバルディリスは11戦連続安打とマルチ安打をマーク。「阪神ではチャンスはなかったけど、試合に使ってもらって感謝している」。調子がうなぎ上りの助っ人を、岡田監督も頭ごなしにしかるわけにいかなかった。開幕後に2度行ったトレードの影響でサインを2度変更し、初回にもサインミスが出た。最大8点差を一時2点差まで迫られ勝って怒った初戦から一変、ミス連発にも笑顔だった。【押谷謙爾】

 [2010年5月23日11時54分

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