<阪神5-4ロッテ>◇24日◇甲子園

 阪神城島健司捕手(33)は、バットを持ったまま、一塁ベース手前で固まった。同点の9回1死満塁、薮田の低め直球をすくい上げて飛距離十分の中飛を放った。三塁走者マートンが生還してサヨナラ勝ち-。だがその瞬間、視界をよぎった二塁走者新井の走る姿に目を疑った。

 「まさかマートン(の生還)より先にアウトにならないよなと、喜ぶのを控えた。みんなもベンチで(出ていいものか)ガクガクなっていた」。仮に新井が先に三塁でタッチアウトになれば、マートンの生還が帳消し。延長に突入する場面だった。

 城島は「マートンが最後までしっかり走ってスライディングもした。ファインプレーです」ときっぱり。一塁付近の歓喜の輪に少し遅れて駆け寄った新井には、金本らと一斉に「お前、なにしとんねん!」とツッコミを入れた。「普通はあり得ないプレーですからね」。最後に訪れた小さなアクシデントを満面の笑みで振り返った。今季初めての4連敗危機を自分のバットで救った。

 [2010年5月25日9時1分

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