<ヤクルト5-12阪神>◇29日◇神宮

 猛虎打線がセ・リーグ新記録の大爆発をした。阪神がヤクルト戦で本塁打5本を放つなど毎回の20安打で12-5と大勝し、首位を守った。2回に金本知憲外野手(42)が勝ち越しの13号ソロで火をつけ、続く城島健司捕手(34)が23号ソロと1点差に迫られた5回には24号2ランと打線を引っ張った。今季6度目の1試合5発となり、リーグ記録を更新した。投げては先発の久保康友投手(30)が6回3失点で、ハーラートップに並ぶ12勝目を挙げた。

 城島のバットがファイアした。金本の勝ち越しソロが出た直後の2回。山本斉の内角シュートに反応した。左ひじに当たるようなボールを、体を回転させて左翼席に23号ソロ。「球場が狭いからね。つまった分だけ、切れずに入った。うれしすぎて(28日にプロ初勝利の)秋山のように泣きそうになりました」。

 2発目のファイアはさらに効果的だった。畠山に2ランを打たれて1点差になった5回2死一塁。松井光のフォークを再び左翼に24号2ラン。「本塁打だけはいけない場面で(畠山に)2ランを打たれた。嫌な雰囲気だった。またまたまたまた泣きそうになりました」。

 2試合連続ノーヒットで試合に入った。28日の9回には危うくプロ野球タイ記録の1試合3併殺を喫するところだった。ただこの日は「(3併殺で)タイ記録じゃおもしろくないよね。やっぱり新記録じゃないと」と笑った。3試合ぶりにバットが火を噴けば、12日広島戦以来今季2度目の1試合2発。内角を振り抜いて、アーチをかけた。

 内角をさばく技術。歴代11位の通算110死球で身を削って、習得した。内角打ちは死球のリスクと常に背中合わせ。城島は毎年「元祖鉄人」衣笠祥雄氏にアドバイスを受けている。

 (1)体の内側(前面)で受け外側(背面)は避ける。

 (2)背中に当たる時も肩甲骨や背骨は絶対に避ける。

 (3)そのために最後まで放棄せずに、体に当たるところまでしっかり見る。

 そして最も重要な“衣笠語録”は「にっこり笑って一塁に歩く」というアドバイスだ。城島は「お互いさまということもある。でもにっこり笑って、次も当てられることもあったけど」。常にホームベース寄りの立ち位置を貫く姿勢がアグレッシブな打撃を支える。

 城島の2発を含めて、チームは今季6度目の1試合5本塁打と大爆発。強力打線を看板に、日本一に輝いた85年シーズンでも1試合5発は5度だった。新生ダイナマイト打線は球団史に残るペースでスパークしている。【益田一弘】

 [2010年8月30日11時31分

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