「星野楽天」に日本シリーズ対決で恩返しや!

 阪神真弓明信監督(57)が20日、大阪市の電鉄本社で坂井信也オーナー(62=電鉄本社社長)にシーズン終了を報告した。球団からは新たに2年契約を提示され大筋で合意。長期政権を託された指揮官だが、「1年1年勝負していくもの」と背水の決意で3年目に臨む。前日19日には星野仙一オーナー付シニアディレクター(SD=63)が退団会見で「甲子園で日本シリーズを戦いたい」と発言。「最後の励ましをもらった」と真弓監督も大舞台での対戦を誓った。

 真弓監督に甘い考えはなかった。坂井オーナーにシーズン終了を報告。その席上で、新たに2年契約を提示された。大筋で合意したが、契約年数を意識することはなかった。「自分としては、1年1年勝負していくものと考えている」。就任3年目となる来季は、勝負の年と定めた。「若手育成も含めてタイガースの野球を再構築、確固たるものにしていただきたい。それには時間を持っていただいた方がいい」と同オーナーは長期政権を期待するが、指揮官の腹は決まっている。

 リーグ制覇に足りなかったものは何か。オフに突入したが、真弓監督にとっては、来季は始まっている。「悔しい気持ちだけが残るシーズンになった。ここ何年か言われているように、勝負どころや短期決戦の弱さがある。今年の分析をすると、防御率が悪い。ピッチングスタッフの補強が大事になってくる」。チーム防御率が4・05と悪化した投手力の整備が最大の課題となる。すでに球団とも編成方針の話し合いを重ねている。新外国人として元中日のネルソン・パヤノ(27)を獲得候補にリストアップ。ドラフトも即戦力投手を指名する方針で、戦力の底上げを目指す。

 月末からは秋季キャンプが始まる。「秋は若い選手が主になる。基本的なことを体にしみこませる。おもしろくないが、反復練習の繰り返し。厳しいキャンプになると思う」。秋山や藤川俊ら若手をさらに鍛え上げ、春につながる考えだ。負けはすべて監督の責任-。真弓監督は常々、そう言ってきた。「来年はこの悔しさを晴らすシーズンにするという気持ちが湧いています」。来年こそはファンの期待に応えたい。穏やかな語り口に、勝利への思いをにじませた。

 闘将から挑戦状をもらった。9年間、在籍した星野SDが阪神退団を表明。楽天の監督就任が決定的となり、古巣にメッセージを送った。「甲子園で日本シリーズがしたい」。真弓監督も闘志が湧いてきた。「最後の励ましをもらった。必ず出てこいよ、と言われている気がした」。今季はあと一歩で優勝を逃し、CSもまさかの2連敗でファーストステージ敗退。ショックは残るが、来季にリベンジの機会がある。かなわなかったリーグ制覇、そして星野楽天との夢の対決を実現させるべく、勝負の3年目に臨む。【田口真一郎】

 [2010年10月21日11時52分

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