<オープン戦:阪神5-1横浜>◇5日◇レクザム

 阪神の新人左腕・榎田大樹(24=東京ガス)が、横浜戦(日刊スポーツ新聞主催・朝日新聞グループオープン戦)に2番手で登板、2回で1失点も4奪三振。オープン戦通算5イニング連続で三振を奪い、評価を高めた。開幕ローテ入り濃厚な左腕が、2カード目の中日、さらに巨人と虎の宿敵狩りローテに組み込まれる可能性も出てきた。

 狙わずとも奪三振ショーだ。1球、1球に歓声が上がる。テンポの良さ。内外角に投げ分ける投球術。ルーキー離れした榎田の投球に、球場全体がくぎ付けになった。

 榎田

 初回は良すぎるぐらいだった。ゴロを打たせる気持ちで低めに投げたら、結果が三振になった。これからも続けていきたい。

 5回から2番手で「0」のバトンを引き継いだ。1死から8番武山を内角低め129キロのカットで、続く一輝には外に逃げる125キロのチェンジアップで空振り三振。ともに、ワンバウンド気味のボール球を振らせる、巧みな投球だった。

 2月26日のオープン戦オリックス戦(安芸)から5イニング連続三振で、合わせて7K。1試合あたりに換算した奪三振率は12・60にあがった。自分のリズムを失わないドラ1左腕の開幕ローテ入りは濃厚。2カード目の中日3連戦中にデビューすれば、1週間後の巨人3連戦に回るDG斬りローテも見えてくる。初物に弱いとされる巨人も新たなキラー候補に警戒心を強めた。

 巨人西山一宇スコアラー

 テンポも、コントロールも良い。ランナーが出ても動揺しない。バッターに考える間を与えない。

 不運ながら、37イニング続いていたチームの無失点記録は途切れた。6回2死一、二塁。吉村を一邪飛に打ち取ったかに思われたが森田が痛恨の落球。直後に左二塁打を浴び失点した。

 榎田

 味方のエラーは、味方がカバーしなければならない。あそこは、自分がカバーしないといけなかった。

 仲間を責めることはしない。むしろ「先入観を持ちすぎた」と、慎重に攻めすぎた森本、村田への2四球を悔いた。ただ、自責は「0」。チーム防御率は12球団トップの0・20となり、順位も首位に浮上した。

 投げるたびに結果を残す左腕も、マウンドを降りれば1年目の初々しさを残す。登板前夜、1人で宿舎のある香川・丸亀市に移動した。「ちゃんと乗り換えが出来るか心配でした」。不安を抱え、慣れない電車に乗ること約2時間30分。無事に宿舎に着いたかと思えば熱心なファンのサイン攻めで“歓迎”された。

 「まさか、地方にまでいるとは思っていませんでした」

 Kラッシュで高松の野球ファンには名前を売ったが、エノキダの名前はまだまだこれからとどろかす。王者中日、宿命のライバル巨人…。セ界の強敵を倒す旅が、始まろうとしている。【鎌田真一郎】