<日本ハム2-4ソフトバンク>◇8日◇札幌ドーム

 佑ちゃんに緊急事態が発生した。日本ハムのドラフト1位斎藤佑樹投手(22)が8日、ソフトバンク戦でプロ入り4度目となる先発に臨んだが、左脇腹痛を訴えて1回、わずか10球で降板した。出場選手登録からは外れ、今日9日に札幌市内の病院で検査する。その後はチームに同行しながら治療に専念する予定。それほど重い症状ではないもようで、回復具合を見た上で1度、2軍での登板を挟み、早期の1軍復帰を目指す。

 札幌ドームが異様な雰囲気につつまれた。1回裏の日本ハムの攻撃が終わり、2回表のマウンドに斎藤は一向に姿を現さなかった。「ピッチャーの交代をお知らせします」とのアナウンス。3万4269人で埋まった観客席がざわつく中、斎藤の交代が告げられた。

 立ち上がりから異変が垣間見えた。初球、1番川崎に投じた直球は137キロ。1日の前回登板西武戦の初球がプロ最速タイの144キロ。これより7キロも遅かった。以降は変化球中心で、3番松田の2球目に同じ速球系を投じたが133キロ。わずか10球で内野ゴロ2つと左飛に抑えたが、全体的に力感のないフォームからの投球が目立った。

 異変は登板前に起きていた。最終調整をしていたブルペンでの「最後の1球ですね」。違和感を覚えたのは左脇腹。初めて痛める箇所だった。不安を抱えながらマウンドに上がったが、吉井投手コーチには見破られていた。「投げる姿を見て、絶対痛いやろ、と思って確認したら『痛いです』と。本人から言ってきそうな顔してたけどね」。

 あとは斎藤の決断のみ。「100%の力でなくて点を取られては、チームに迷惑を掛けるので」。冷静に降板することを決意した。現状は、ルーキーの先発ローテ5番手投手。少しでも長いイニングを投げ、結果を残したいという気持ちが先行しがちだが、グッと抑えた。故障を最小限に食い止め、チームの勝利を最優先した。

 治りにくいとされる脇腹の故障は「初めてです」。福島チーフトレーナーは「去年のケッペルと症状的には同じような感じ。2週間後に実戦復帰しているのでそれが目安になる」。昨季、左脇腹を痛めたケッペルは、1軍復帰に17日を要した。斎藤も同じような復帰ロードを歩むことが予想される。今日9日には札幌市内の病院で詳しく検査。出場選手登録からは外れるが、症状が軽ければ、今日からのチームの仙台遠征には同行する。

 梨田監督は「1度、ファームで投げて調整してもらわないと」と、復帰プランを示した。経過を観察した上で回復具合を見て2軍戦に登板。早期の先発復帰を目指す。開幕から守ってきた先発ローテーションから一時離脱するが、斎藤は「ここで登板を1回外れるのは、申し訳ないという気持ち」と話した。野球を始めて以来、大きなけがに見舞われたことはなかったが、チームに貢献できるようになるまで、じっくり回復に努める。【木下大輔】