<横浜1-1阪神>◇21日◇横浜

 急造「8回の男」は阪神榎田大樹投手(25)だった。同点の8回裏、6連投となるマウンドへ。先頭4番村田は内角低めカットボールで捕邪飛。5番中村は外角スクリューで右飛。6番渡辺には3ボールからフルカウントとし、外角スライダーで投ゴロに仕留めた。ベテラン顔負けの堂々たる投球だった。

 榎田

 しっかり自分の仕事をしようと思った。昨日も抑えていたし、逆に良いイメージでいけた。渡辺さんからやられることが多いので意識した。3人で抑えられて良かった。

 小林宏の代役を任された形だ。FA右腕は18日広島戦で3点リードの8回に1イニング2失点。前日20日横浜戦は1点リードの8回に登板し、1死しか取れず3安打1失点で降板。ここ最近は再び安定感を欠き、この日はリフレッシュも兼ねて登板しなかった。このつらい台所事情を救ったのがルーキー左腕。山口投手コーチは「横浜は左打者が多いから、今日はこれで」と起用理由を説明した。

 キーマンは渡辺だった。先発メッセンジャーの押し出し四球で同点とされ、なおも7回1死満塁。絶体絶命のピンチで投入され、2番石川を二ゴロ、3番金城を遊ゴロに斬った。前日20日横浜戦でも2点差に詰め寄られた直後の8回1死一、二塁で左打者2人を難なく仕留めていた。「行けと言われたところで行くだけなんで」。2日連続の快投が虎の窮地を救った。

 榎田

 体力的にも逆に良いぐらい。良い感じを続けていきたい。

 小林宏が一時的に“降格”した一戦、送り出された救援陣5人が粘りを見せゼロのバトンをつないだ。今後は調子、対戦相手との相性を見ながらの起用になりそうな情勢。榎田&渡辺が「8回&7回の男」に名乗りを上げ、新たな逃げ切りパターンが誕生した。【佐井陽介】