<オープン戦:ソフトバンク1-1ロッテ>◇3日◇福岡ヤフードーム

 えっ?

 直球が新球?

 他の投手だったらただの直球が、ロッテ小野晋吾投手(36)の場合は違った。リードした里崎が「晋吾ボール」と名付けたのは140キロのフォーシーム。いわゆる普通のストレートだ。去年まで、試合で2%ほどしか投げなかった直球。この日は53球のうち約40%が直球だった。低めに決まる球でゴロの山を築き、3回までパーフェクト。4回に1点を失ったものの試運転は上々だった。

 試行錯誤の中から生まれたボールだ。キャンプから腕の振る位置を上にしたり、横にしたりと試した。その中で球持ちが良くなり、直球の質が良くなった。スライダーとシュート中心の組み立てに、新たな球種として加えることができるようになった。「キャンプから打者の反応を見て、使えるかなと思っていた。今日もソフトバンクの打者の反応が今までと違うように感じた」と手応えを得た。

 打たれた4回もサイドから投げ、打者の反応を見ていた。内川に打たれたのは横から投げたスライダー。いつもとは変化の角度が違ったが「もう少し横から投げたかった」と、課題も見つけた。ローテーションの一角を手に入れるためにもなりふり構わない。「直球にしろサイドにしろ、幅が広がるでしょ。ここまで来たら、いろいろやってつかみたい」と、ニュータイプの小野が先発の座に名乗りを上げた。【竹内智信】