<日米親善試合:阪神12-6アスレチックス>◇26日◇東京ドーム

 和田虎の開幕オーダーが見えてきた。マット・マートン外野手(30)の故障離脱で不在となっていた右翼には、ドラ1ルーキー伊藤隼太外野手(22)が決定的となった。マリナーズ戦に続いて9番右翼で先発したアスレチックス戦も2安打1打点。キャンプ、オープン戦と奮闘してきたハヤタが、虎史上40年ぶりとなる新人外野手開幕スタメンで飛び立つ。

 メジャーとの戦いが「旅立ち」の舞台となった。伊藤隼が執念のマルチ安打で、開幕スタメンを決定的にした。1打席目の2回だ。ア軍の先発ロスの直球をセンター前に打ち返した。ルーキーながら、メジャー相手に力負けしなかった。

 「チャンスだったので、初球から行こうと思っていた。1球目から、しっかりととらえることができてよかった」

 二塁走者の城島が生還し、3点目のタイムリーとなる。8回にも中前に運んで、盗塁、暴投で三塁まで進む。機動力も発揮し、ダメ押しのホームも踏んだ。2月28日の練習試合DeNA戦以来、1カ月ぶりのマルチ安打。右翼の守備では本塁への返球がスムーズにできない場面もあったが、春の息吹を感じさせる9イニングだった。

 戸惑いのキャンプ初日から、2カ月がたつ。一足飛びの成長ではないが、伊藤隼は泥臭く歩んできた。外野のライバルたちが、故障や不振に苦しむ中、ギブアップすることはなかった。猛練習でも痛むことのない強い体。プロ入り前から定評のあった「武器」が生きた。指揮官は開幕スタメンについて触れた。

 和田監督

 最後の試合はそれを意識しながらやった。マートンが戻ってくるまではね。開幕だけが試合じゃない。相手の投手も代わるし、2、3試合目でスタメンが代わる可能性は高い。

 3月30日、DeNAとの開幕戦はこの日のラインアップが土台になるのは確実。レギュラーを確約したわけではないが、メジャー2戦で6打数3安打の伊藤隼が大事な初戦に抜てきされることになる。

 「最近、練習ではいい感じで打てている。それが試合でも出始めた。手応えはもちろん、つかんでいるし、この2日間がいいきっかけになった」

 ブラゼルも守備に就くなど、マートン不在の右翼争いは混沌(こんとん)としていた。

 和田監督

 試合に出ていく中で、本来のものが出てきた。今後は結果を問われる世界に入ってくる。練習から全部吸収する形でやってほしい。

 指揮官が選ぶのは若い力。次代を担う新戦力に重要な一戦を託すときが来た。【田口真一郎】

 ▼伊藤隼が開幕戦にスタメン出場すれば、阪神の新人外野手としては72年4月9日中日戦に望月充(71年ドラフト3位=大昭和製紙)が「3番・左翼」で先発して以来、40年ぶり。新人野手では、04年4月2日巨人戦での鳥谷敬の「7番・遊撃」以来8年ぶり。なお新人野手の開幕戦出場は、10年3月26日横浜戦に藤川俊介が右翼の守備固めに入って以来。