日本ハム栗山英樹監督(50)が、明日30日の開幕戦(対西武、札幌ドーム)に「4番・左翼」で起用する中田翔内野手(22)に、シーズンを通して4番を任せる方針を固めていることが28日、分かった。打線の中心として、好不調の波に左右されることなく4番に置き“心中”するつもり。前日27日の守備練習で右膝を痛めた中田はこの日、通常練習をこなした。多少の痛みは残っているが、自身初の開幕4番へ気持ちは高まっている。

 投が斎藤なら、打は中田だ。栗山監督はチームの顔として、中田をシーズン通して4番で起用する方針を固めた。球団首脳も「監督はずっと(4番で)使うつもりのよう」と、指揮官の決意をひしひしと感じている。

 今季だけではなく、将来のためにも、中軸として攻撃の核を託す覚悟でいる。栗山監督は就任時から「誰が監督をやっても迷わない4番バッターをつくらなきゃいけない」と言い続けた。個人名こそ挙げないが、紛れもなく中田を指した発言。キャンプ中の実戦やオープン戦でも全試合に4番で起用してきたことが、期待の大きさを物語っている。長いシーズン、好不調の波は必ずあるが、状態に左右されることなく、今季は常に4番に置くつもりだ。

 札幌ドームで行われた前日27日の練習では、守備練習中に右膝を負傷し、周囲を騒然とさせた。2軍施設の千葉・鎌ケ谷を視察しており、1軍練習には不在だった栗山監督も「ひやっとしたどころじゃない」と、表情が凍り付いた。

 幸い大事には至らず、一夜明けたこの日も、通常メニューをこなして指揮官を安心させた。中田本人は「思った以上に動けたし、打撃もできた。多少の痛みはあるけど、朝起きたときはここまでできないと思った」とひと安心。開幕戦の出場も問題はない見込みだ。

 だが、今回のアクシデントが、さらに栗山監督の思いを強くした。「ケガや疲れの中でも、やり続けることは大事。(シーズン中にも)こういうことはある。(患部を)かばいながらやるっていうこともね。今回はそこまでいってないけど」。多少体に痛みを負ったとしても、スタメンから名前を外すつもりはない。それだけ本人に、大きな責任と自覚を植え付ける。

 シーズン全試合で4番を務めることになれば、球団では63年の張本勲(150試合制)83年の柏原純一に続き、29年ぶり3人目の出来事になる。若き主砲と“心中”する1年。その第1歩を明日30日、地元ファンの大観衆の中で踏み出す。

 ▼日本ハムで1シーズンを通して4番を打ったのは2人しかいない。東映時代の63年の張本が最初で150試合、打率2割8分、33本塁打、96打点。83年の柏原は130試合、打率2割8分2厘、26本塁打、89打点。中田が1年間4番を打ち続けると3人目になる。