ロッテが来季の1軍投手コーチとしてヤクルトで活躍した元中日の川崎憲次郎氏(41)を招聘(しょうへい)することが30日、分かった。現役時代は98年に最多勝、沢村賞に輝くなど通算88勝をマークしてヤクルトの90年代の黄金時代を担った。93年の西武との日本シリーズではMVPに輝き、巨人戦では29勝を挙げて「巨人キラー」として名をはせるなど大一番に強い投手だった。

 また、若手のころは速球を武器にしてきたが、故障後に覚えた鋭いシュートで打ち取る投球スタイルに変身。01年に中日にFA移籍後は右肩痛に悩まされ、3年間1軍登板なしを経験するなど栄光だけでなく挫折も経験している。04年は開幕試合で先発したが、3試合登板に終わり、その年で現役を引退した。指導歴はないが、評論家活動で外から野球を学び、見聞を広げてきた。自身の経験を通じた幅広い指導と、選手とも年齢が近いことからパイプ役としても期待される。この日、球団から1軍投手コーチ就任を発表された斉藤明雄氏(57)とともに今季リーグ4位の防御率の投手陣を鍛えていく。

 また内野守備走塁コーチにはオリックス、阪神などで指導歴がある松山秀明氏(45)の招聘に動いていることも判明。松山氏は清原、桑田とPL学園高で同期。98年に現役引退し、99年からは故仰木監督のもとで1軍コーチとしてイズムを学び、2球団で13年間指導してきた。今季は韓国・起亜でコーチを務めるなど、斗山ヘッドコーチだった伊東新監督との接点もある。

 球団はこの日、斉藤氏の他にも、1軍打撃コーチにOBの堀幸一氏(43)と今季ソフトバンク1軍打撃コーチを務めた立花義家氏(54)が就任すると発表した。ヘッドコーチは置かない方針。伊東体制の組閣が完成に近づいてきた。

 ◆川崎憲次郎(かわさき・けんじろう)1971年(昭46)1月8日、大分県佐伯市生まれ。津久見高3年の88年に春夏連続甲子園出場で、ともに8強進出。同年ドラフトでヤクルトへ1位入団。2年目から2年連続2ケタ勝利。93年にカムバック賞、98年に17勝で最多勝と沢村賞を獲得した。00年オフにFA宣言し、レッドソックスなども争奪戦に参戦したが、中日に移籍。04年開幕戦で4年ぶりに1軍登板を果たすも同年に引退した。通算88勝81敗2セーブ、防御率3・69。