オリックスからFA宣言した寺原隼人投手(29)が23日、ソフトバンク入団を表明した。来季7年ぶりの古巣復帰を「挑戦」と表現し、飛躍のためハイレベルな競争環境を選んだと激白した。今季限りで引退した小久保氏らを支えた山尾伸一トレーナー(44)と4季ぶりに専属契約を結び、12月2日から故郷宮崎で始動する。

 オリックスとの最終交渉を終えた寺原はソフトバンクに「よろしくお願いします」と電話連絡を入れた。正式発表は週明けの見込みながら、ついに古巣復帰が決定。寺原は来季に向け、熱っぽい思いを語った。

 「ホークスは毎年上位にくるチーム。選手層が厚いのは分かっている。それでもキャンプ施設など練習環境のレベルが高い。やりたいという気持ちになれる環境。もしかしたらオリックスに残っていたら、1軍で投げられるというものはあったかもしれない。ただ、どこにいても競争。いかに妥協せずに練習するか。高いレベルを求めました」

 故郷九州への思い入れも移籍を後押しした。

 「自分も嫁も家族も九州の人間というのはある。転校もあるので、小学1年の上の子に伝えると、嫌やって泣きました。すごく悩みました。でも20代でとれたFA。今しかないと。1つの挑戦です。野球人生の大きなポイントになるかもしれません」

 今年は春季キャンプから右肘と右太ももに違和感を抱え、調整が遅れた。周囲が強い期待を抱くFA移籍。寺原は2000安打を達成し、今季引退した小久保氏を支えた山尾トレーナーと4年ぶりに専属契約を結ぶ。清原、石毛といった一流選手とも個人契約を結んだ敏腕との再タッグだ。

 「これまでも短期的にはありましたけど、1月から1年契約でとお願いしました。1人じゃなかなか追い込めない。妥協せず、甘さをなくしたいので」

 12月2日から早くも山尾トレーナー同行で自主トレに突入する。場所は原点回帰、生まれ育った宮崎を選んだ。最後に、渡り歩いた2球団への思いも口にした。

 「横浜とオリックスで多く投げさせてもらったから、FAもとれた。すごく感謝しています。成長できたことを持って帰って、糧にして頑張っていきたい」

 2度のトレードを経験した01年ドラフト1巡目右腕が、心機一転の思いを乗せた背番号「11」でついに帰ってくる。【押谷謙爾】