ソフトバンク松中信彦内野手(39)が1発と流し打ちの“二兎(にと)流”打撃で1軍に生き残る。

 9日、フリー打撃で昨年17勝、沢村賞の摂津と対戦した。上質な27球のうち、24球目の内角球をきれいな軸回転で右翼芝生席へと運んだ。「摂津から打てましたしね。体の切れは悪くないです」。言葉どおりバットを体に巻き付け、キュッと腰が回った。安打性の打球は2本ながら手のひらに残った感触が収穫だ。

 続くシート打撃。松中は「この前から言ってますように結果を出さないといけないので」と目に見える結果を求めた。例年なら調整段階の時期に、与えられた2打席でレギュラー獲得へアピールしにかかった。

 金無英からは外角直球を流し打って左前打。育成選手の有馬には的確にミートした中飛。中堅から逆方向への打球について松中は「生きる道です」と正直に明かした。

 キャンプとオープン戦で打率や打点という目に見える結果を残し、首脳陣を納得させるつもりだ。元3冠王が本塁打に固執せず、流し打ちで食らいついていく。定位置奪取にかける強い意識がにじんだ。【押谷謙爾】