<阪神1-4DeNA>◇27日◇甲子園

 キヨシの勘がさえ渡った。DeNAが阪神に連勝し、6月5日以来の3位に浮上した。ルーキー宮崎のスタメン起用など中畑清監督(59)の「ひらめき」采配が見事に的中し、WBC左腕能見を6回の集中打で一気に攻略。後半戦に限れば、3位は07年以来6年ぶり。目標のクライマックスシリーズ(CS)進出も現実味を帯びてきた!?

 思い切りはまった采配に、中畑監督のマシンガントークはとどまることはなかった。「最近、勘がいいんですよ。ありがとうございます!

 これ以上の雰囲気はないよ。最高です!

 絶好調って言わせたいの?

 言いません!

 (雰囲気は)いいともっ!」。

 喜びまくるのも無理はなかった。5回まで能見の前に1人の走者を出せなかったが、能見対策として7番二塁で起用した宮崎が流れを変えた。「あれで、よしいけるっていう雰囲気をつくってくれた」と、6回先頭でチーム初安打となる左前打。これが着火剤となって、1死二塁から代打で送り出した井手の同点打、モーガン、ブランコの適時打と一挙5安打。5回までがうそのような集中打で3点を奪った。

 試合前、中畑監督はうれしそうに話していた。「今は俺のひらめきが当たるんだよ。まあ、ずっと続くことは難しいけどな」。前夜は6番、7番で使った荒波と金城が2人で計6安打し、起用的中。この日は宮崎に加え、約2カ月ぶりに金城を1番に置き、そのベテランも6回の逆転劇でつなぎの一打を放った。「宮崎は可能性を感じるからね。金ちゃん(金城)は勢いがあるから」と、具体的な根拠はなさそうに説明していたが、その裏では相性、適性を考慮。宮崎は対左腕との対戦打率が5割、金城も1番起用時の打率が5割と裏付けがしっかりあった。

 もう1つ、ひらめきがあった。「この暑い時期は、どんな投手でもきつい時。だから必ず攻略のチャンスは来るはず。外の球場っていう条件はつくけどね」。最後は笑いを誘ったが、“予告”通り、難敵左腕を試合の中盤に崩して見せた。

 そんな会心の勝利だったが、順位には全く関心を示さなかった。「今は順位じゃなく目先の1勝がほしい。そのために全員で戦っている」と引き締めた。勘がさえるのも、選手が期待に耐えてくれるからこそ。そのうれしさに、勝利も加わっている。喜びの秋に向け、いよいよDeNAが乗ってきた。【佐竹実】