11日にプロ野球記録の55本塁打に並んだヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)は、3打数1安打1四球に終わり、4戦連発での56号はならなかった。12日来日した母アストリットさん(65)が観戦する中で力みもあったが、最終打席は打席内で打撃を修正して中前打を放った。

 バレンティンの母アストリットさんは自慢の息子に肩を抱かれ、試合後のクラブハウスから出てきた。オランダ・アムステルダムから来日し、ネット裏から試合を観戦。1発は出なかったが、本塁打の日本タイ記録をマークしたことに「これだけ打ってビックリしています。うれしいですし、ダイヤモンドのような息子です」と誇らしげに話した。

 審判の資格を持っており、幼少時から試合や練習に付き添った。異国の地で成長した姿を見つめ「球場のみなさんが『ココ(愛称)頑張れ』と言ってくれた。応援の傘を貸してくれたり、日本の方がとても親切だった」とファンの後押しに感激した。観戦に訪れていたオランダ大使館の関係者からも感謝の言葉を伝えられ、記録の偉大さを知った。

 シーズン終了まで滞在予定で「野球は好きだから、毎日見に来るわ」と張り切った。試合後は一緒に帰宅し「今日は日本に着いたばかりだからできなかったけど、料理をつくってあげたい。明日は打ってくれると思う」とうなずいた。最愛の母がつくる手料理パワーで、新記録達成に挑む。【柴田猛夫】