<ロッテ14-5ソフトバンク>◇21日◇QVCマリン

 クライマックスシリーズ(CS)進出を目指し、ロッテが一丸となった。ベテランのサブロー外野手(37)が先陣を切る。1回2死満塁から走者一掃の左中間二塁打を放つと打線に火が付いた。打者13人で7点を奪ってエース摂津をKO。結局14安打14得点で2位を争うソフトバンクを粉砕した。本拠地開催権を得られる2位を確保するために、重要な3連戦の初戦を快勝した。

 サブローは強い気持ちで打席に入った。1回2死満塁。「この3連戦で順位が決まってしまうくらいの気持ちだったから、1点でも欲しかった」と。その思いをバットに乗せる。カウント3ボール1ストライク。マウンドはエース摂津だ。外角高めだったが「真っすぐを狙っていたから、うまくかぶせることができた」という打球は左中間の真ん中を破り、走者を一掃する先制二塁打となった。

 ソフトバンクとの2位争いを控えた19日の練習では、伊東監督がナインを前に「ここまで積み上げてきたものを、ここでつぶすわけにはいかない」と鼓舞していた。「何度も死にそうになったシーズン。この3連戦の持つ意味は言わなくても分かっている」と、選手を信じて臨んでいた。6月28日の逆転負けが脳裏にこびりついている。先発の摂津から5点を先制しながら10点を奪われた。しかも完投まで許した。「あと1点が取れなかった。今日はいい取り方ができた」と中押し、ダメ押しの理想的な展開を喜んだ。

 サブローは7月31日から8月19日まで、右手中指の負傷で2軍で調整をしていた。しかし、この終盤にきて10試合連続でスタメン出場をしている。「ベテランに期待しているのを意気に感じる。監督がいう束になってかかって行けという試合が今日はできた」と言う。1回は13人、8回は9人の猛攻だった。

 監督、ベテラン、若手…。この一丸を呼んだのが引退を決めた小野晋吾投手(38)の存在だった。前日(20日)の練習で正式にあいさつをした。サブローは「強いときも弱いときも19年ずっと一緒だった。かっこいい花道を飾らせてあげるためにも早くCS進出を決めたい」と言う。この言葉はナインも同じで、最終盤のスパートを生みそうだ。【矢後洋一】