虎に強敵現る-。ソフトバンクが、阪神ランディ・メッセンジャー投手(32)の獲得調査をすることが14日、分かった。4位からの巻き返しに向け日本で実績を積んだ「国内外国人」をチェックするホークスが、今季で2年契約が終了するセ奪三振王に注目。数球団が注目するメジャーへの流出危機に加え、潤沢な資金力を誇る相手の出現は、慰留に努める阪神にとってはやっかいだ。

 阪神が引き留めに全力を注ぐ助っ人右腕に、新たな触手が伸びてきた。2年契約の満了で米大リーグ流出の危機に立つメッセンジャーは、福岡からの熱視線にもさらされていた。2年連続V逸から巻き返しを図るソフトバンクの球団関係者は「メジャーへ行くのではという情報は聞いているが、実際どうなのか」と移籍へ傾いていると推察する。メッセンジャーが国内他球団も選択肢に入れる可能性があれば、阪神との交渉を見守って獲得に動くか判断するとみられる。

 メッセンジャーはチーム勝ち頭の12勝で、3年連続で2桁勝利をマークした。広島前田健らを抑え、183個で奪三振王も獲得。シーズン中から獲得に熱心なツインズなどメジャー複数球団が視察し、争奪戦となれば資金は高騰する状況にあった。あるメジャー関係者は「メジャーは3年10億円くらいのオファーを出すようだ」と明かすほど、母国での評価も上がっている。

 ソフトバンクは、今オフの補強で「国内外国人」を重視する。日本球界に適応し、実績を残した選手の動向をチェック。投手はメッセンジャーや日本ハム・ウルフ、打者ならオリックス李大浩ら、契約が満了する選手に照準を定めている。孫正義オーナーから常勝を命じられる球団として、積極的な攻めの補強を宣言。本社のバックアップも受け、複数年の大型契約で対抗する本気度を見せる。

 困ったのは阪神だ。メジャーの札束攻勢だけでなく、国内屈指の資金力を誇る球団も相手になってしまう。来日4年目の今季は開幕投手を任されるなど、左腕能見とともに虎投の両輪として支えてきた。今季推定年俸1億2000万円から条件を練り直し、日本一へ欠かせない戦力として全力で慰留するが、マネーゲームにも限界がある。

 メッセンジャーは前日13日、後がないCSファーストステージ広島戦に先発した。6回途中2失点で降板する際は、不満そうにベンチへ向かった。試合後は「野球がしたいだけ。ここにいるならいる、違うなら違う。自分の投球で、チャンスをつかんでいくだけ」と揺れる気持ちを明かしていた。阪神残留へは、国内外から迫る手を振り払わないといけない。