俺に任しとけ!

 阪神新井貴浩内野手(37)が5日、高代内野守備走塁コーチから守備の猛特訓を受けた。全体練習後の特守で三塁に入ると133本のノック。それだけでは終わらず、一塁で45球の捕球練習を繰り返した。4番候補の新外国人マウロ・ゴメス内野手(29=ナショナルズ3A)は来日が遅れる中、新井貴はどっしりと戦いの準備を整えている。

 新井貴が三塁ベース横で何度も腰を落とした。緩いゴロをかみしめるように捕り続けた。打球が飛ぶとグラブを先に地面に着け、捕る瞬間を毎回確認した。じっくりと、どっしりと-。

 マンツーマンで指導した高代コーチは「1日ではできん」と語りかけた。少年野球のような基本練習。これまで何千球、何万球と打球を捕ってきた37歳が、練習を終えると驚きの言葉を口にした。

 「やる前と(比べて)やってる最中で、明らかにあれ?

 というのがあった。今までやってきたことと、逆のことですごく新鮮だった」

 それは今キャンプ、あちこちで目にする高代マジックだった。新井貴は「(捕球の)準備をするのが遅いから早めにすることと、捕る位置を自分の体の近くにすることを言われました」と説明した。たった2つのことを、徹底的に体にたたき込んだ。高代コーチは新井貴の横で実技指導をしたかと思えば、バットを持ちノックを打った。報道陣にこっそり、「1日であそこまでやるとは思わなかった」と漏らした。

 一塁での起用が現実的な中、今季初めて三塁練習に取り組んだ。新井貴は「準備はしとかないと。何が起きてもいいように。肩はまったく問題ないからね」ときっぱり。昨季苦しんだ右肩痛の面影はない。

 高代塾の最後は、三塁と遊撃の位置からコーチの放つ不規則な打球を、一塁手として捕球する作業だった。有事には備えるが、もちろん勝負は一塁だ。和田監督も「ゴメスが来たら来たで、(新井貴は)もうひとつ目の色が変わってくるだろう。もちろん一塁で勝負するつもりでいるだろうし」と心中を察する。第1クールは毎日フリー打撃を行い「感触はいい」と打撃も順調だ。ゴメスよ、いつでも来い!

 攻守ともにどっしりと、新井貴が来るべき時を待っている。【松本航】