ソフトバンク李大浩内野手(31)がプロ初優勝と初のビールかけを切望した。大型補強の象徴でもある4番打者が日刊スポーツのインタビューに応じた。韓国で3冠王を2度、オリックスでも打点王のスラッガーは初優勝への渇望感を繰り返した。お立ち台トーク、本塁打後のパフォーマンスについて提言するなど本音トークがさく裂した。

 加入から3週間が過ぎ、すっかりソフトバンクの一員。球宴の全パで一緒だった松田たちから受けた印象そのままのチームだった。李大浩は語り始めた。

 「オリックス時代からファイトがあり、明るいチームと感じていた。球宴でも声を出して元気でしたからね。今はレギュラー、後輩、若い人ともコミュニケーションをとろうと。言葉では難しい部分がありますが、ボディランゲージだったり。松田や李杜軒とはよく話をしますよ」

 キャンプ序盤は右打ちを徹底し、紅白戦は2打席、オープン戦は1打席で交代と自分のペースを守る。

 「速い球にも慣れてきたし、実戦を意識して徐々にペースを上げていきたい。打撃は毎年少しずつ変わるものだろうけど、本人は感じていない。一番いい時を意識してやればいい。本塁打を打った瞬間がいいバランス、リズム。それが理想的なもの。頭では描いていません。体で反応して打っているものだから感覚的に覚えている。打撃に関しては韓国の頃から一緒です」

 韓国ロッテから「男の挑戦」とオリックス入りしたが、6位、5位。12年は自分を招いた岡田監督が成績不振で途中解任された。

 「選手みんながうまくやれず、監督が責任を背負う形で辞められた。泣くのは我慢しました。次の日も試合があるし、そういう姿はみせない方がいい。でも、本当は泣きたかった」

 悔しさにくれた2年間で積み重ねたものもある。

 「経験でしょう。いろんな投手を見て実際に対戦した経験が武器になり、ここで戦える力になると思う」

 新天地を選んだ。その理由はシンプル。

 「優勝です。それ以外は何もいらない。優勝するためにこのチームに入った。優勝すれば誰が良くても誰が悪くても関係ないですから。個人タイトルはいりませんよ」

 韓国代表としては08年北京五輪、10年アジア大会で金メダル。しかし、日韓通算14年目を迎えるプロで金メダルは手にしていない。

 「その当時のメダルは自宅の部屋に飾ってます。私はプロで優勝したい」

 そして「今年はビールかけをやってみたい」と新しい仲間との初体験を思い描き、外国人も求められるお立ち台トークにも「私も少しずつやらないといけませんね」と積極的に挑戦するつもりだと笑った。

 韓国で225本塁打、世界記録の9試合連続本塁打、2度の3冠王。オリックスでは2年連続で24本塁打。日韓通算300発に近づく男は、最後に、プレーに連携する自然発生的な感情表現を別にして、本塁打を打った際のパフォーマンスについて提言をした。

 「相手投手、相手チームへの礼儀もあるので、刺激を与えない軽い程度にはやります。韓国でもそうですが、やりすぎは良くない。自分自身で本塁打を打って、ありがたいと思っていればいい。みなさんファンのためにやっていると思いますが、阪神のようにみんながベンチから出てきてやるのは…。相手の投手、チームをなめてはいけません。いい影響はありません」

 優勝に向けてひた走る「男の挑戦」第2弾。温和なマスクの下に沸々とした思いを宿していた。【取材・構成=押谷謙爾】