<日本ハム5-4オリックス>◇4日◇札幌ドーム

 日本ハム大谷翔平投手(19)が、オールスターばりの直球勝負で能力の高さを見せつけた。3回途中、打者8人目の駿太まで全球直球を投げ込み、最速は156キロ。5回に3連打を浴びるなど中盤に失点したが、6回2/3を7安打4失点で、昨季に並ぶ3勝目を挙げた。同一カード3連勝でチームは今季初の5連勝。17日ぶりに勝率を5割に戻した。

 のぞきこむ。サインは1つだけ。「二刀流」に挑む大谷が、型破りの快投を演じた。3回2死伊藤の初球にスライダーを投げるまで、試合開始から24球連続直球で押した。「ブルペンから真っすぐしかよくなかったからそれが中心になった。(変化球は)キレも悪かったし抜け球が多かった」。とはいえ、24球中22球が150キロ超え。最速156キロで序盤を無失点で切り抜けた。舞台はプロの公式戦。オールスターばりの真っ向勝負で打者を威圧した。

 前回登板の4月27日ロッテ戦は、1回に4失点した。「こないだは気も抜けてた感じだったので、最初から(全力で)いくと考えていた」。50%が変化球だった前回からガラリと組み立てを替え、直球で押しに押した。打線の援護も受け、7回途中まで7安打4失点。昨季に並ぶ3勝目を手にした。栗山監督も「気持ちが入っていたのは分かった」。結局全93球中、83%に及ぶ77球が直球だった。

 これでもまだ発展途上の19歳。5回は調子の上がらなかったスライダーを連打されると安達には144キロ直球を痛打され右中間を破られた。「ストライクを取りにいっちゃいました。いらない(失)点だった」と反省した。2度続いた中6日での登板。1度だった合間のブルペンを2度に増やすなど、試行錯誤が続く。厚沢投手コーチは「(調整法と結果は)関係ない。まだ自分のルーティンができていない投手だから」と説明。打者との兼ね合いも考慮しながら、これからも模索していく。

 チームは今季初の5連勝となり、個人の勝ち星も昨季に並んだ。「今は(打線や救援に)助けてもらっている。完投とか完封した中で勝ちがつけば、自信がついていくと思います」。目指す場所は、いつももっと上にある。【本間翼】