<阪神5-4DeNA>◇1日◇甲子園

 延長10回。二塁走者鳥谷を三塁へ進めると、阪神マウロ・ゴメス内野手(29)は一塁上で手をたたいた。4番が二塁への進塁打で福留のサヨナラ打を演出した。

 「あそこの場面は右方向に打つこと。抜けたら抜けたでいい。ワイルドピッチでランナーが二塁にいってからそんな風に考えた」

 チームバッティングに徹した。フルカウントから外角高めへの変化球を思い描いた通り右方向へ。1死三塁とチャンスを広げた。ベンチへ下がる4番へ、甲子園の虎党から大きな拍手が送られた。和田監督も「あれこそ食らいついてだよな。食らいつく姿勢のサヨナラ」と絶賛の進塁打だった。その賛辞を伝え聞くと「アリガトウゴザイマス」と照れた表情で答えた。

 得点も自らのバットで生み出した。3回。2番今成の中前適時打で1点差とし、なおも2死二塁で4番のバットが火を噴いた。「2球で追い込まれてしまったけども、最後にしっかりと打てるボールを打ち返すことができたよ」。外角高めへの直球を仕留めた。強烈な打球はライト前にワンバウンド。DeNA梶谷が後ろにそらした。フェンス前まで転がり、ゴメスは悠々と三塁まで到達した。相手失策を誘い、まるで甲子園が味方したかのような同点劇だった。

 夏バテで体調を崩し、7月29日ヤクルト戦は発熱で欠場。1日で復帰し、3試合連続で安打を放つ。90周年を彩る虎の4番は、頼りになる。【宮崎えり子】